買う前に、一度見せてください

SOLE LIVINGでリノベーションのご相談をお受けしていると、年に何度か、少し申し訳ない気持ちになる場面があります。

菊池です。

「先月、中古の家を買いました。これをリノベーションしたいんです」とお越しいただいて、拝見しに行くと、想定していなかった費用がいくつも出てくる。ご予算の大部分がそちらに消えてしまい、やりたかった内装や間取りに手が回らない。こういうことが、実際に起きます。

ですので、いちばんお伝えしたいのはこれです。契約する前に、一度だけ見せてください。それだけで結果がかなり変わります。

見に行ったときに何を見ているかというと、まず建物の外まわりです。基礎に幅の大きなひび割れがないか、床が傾いていないか。次に、雨漏りの跡です。押し入れの天井や小屋裏を覗くと、過去の履歴はだいたい残っています。それから給排水の配管。築年数によっては、壁や床を開けたときに交換が前提になります。

意外と見落とされやすいのが、増築されている部分です。あとから足した箇所は取り合いが弱いことが多く、そこから傷んでいる例をよく見ます。あわせて、確認申請の書類が残っているか、道路への接し方はどうか、といった書類上の話も確認します。ここが引っかかると、そもそもできる工事の範囲が変わってしまいます。

こうした話をすると不安になるかもしれませんが、逆でもあるんです。事前にわかっていれば、その分を織り込んで買うかどうかを判断できます。値段の交渉材料になることもあります。何より、限られた予算をどこに置くかを最初に決められる。

わたしたちがおすすめしているのは、見えなくなる部分から先に予算を取る、という順番です。断熱と耐震と配管。ここは仕上げてしまうと中々容易には触れません。逆にキッチンや床材は、五年後でも十年後でも入れ替えられます。

物件を探している最中の方も、気になる家が出てきた段階でご相談いただいてかまいません。内見に一緒に伺うこともできます。

それでは、また。

No.7220

★LINE登録はこちらです★

Continue Reading

主治医、という言い方

先日、若いスタッフに会社案内の内容を説明していて、自分でも改めて考え込んだ言葉がありました。

菊池です。

わたしたちは会社の紹介の中で、自分たちのことを「建物の主治医」と書いています。そして「命の視点から建物を見る」という言い方をしています。建設会社の説明としては、少し変わっていると思われるかもしれません。

創業は昭和三十五年です。相模原、町田、八王子を中心に、六十年以上この仕事を続けてきました。その間に建て方も材料も大きく変わりましたが、途中で強く意識するようになったのが、建物が人の体に及ぼす影響でした。シックハウスという言葉が世に出て、建物のせいで具合が悪くなることがあると知られるようになった時期です。

正直に言えば、建設業界全体がその視点に慣れているとは、いまも思っていません。図面の納まりや工期や金額の話はいくらでも上手になるのに、そこで毎日呼吸する人のことは、後回しになりやすい。自戒を込めて書いています。

「主治医」という言い方を選んだのは、たぶんそこに理由があります。専門医は難しい症例を治しますが、主治医の役割は少し違います。普段のその人を知っていること。前はどうだったかを覚えていること。そして、まだ症状が出ていない段階で「ちょっと様子を見ましょうか」と言えること。建物に対して、わたしたちがやりたいのはそちらのほうなんです。

だから引き渡しのときに、ここで区切りです、という気持ちにはなりません。むしろ、カルテの一ページ目が書き終わったところだと思っています。十年後に「あのときこうしましたよね」と話せる相手でいたい。そのためには、建てるときの判断も、十年後に説明できるものでなければいけない。

会社としては「サービスを超えた感動を提供する」という言い方もしています。壮大に聞こえますが、現場でこれを翻訳すると、案外地味な話になります。言われる前に気づく。覚えている。それだけのことを、何十年も続けられるかどうか。

まだできていないことのほうが多いです。だからこそ、書いて残しておこうと思いました。

それでは、また。

No.7219

★LINE登録はこちらです★

Continue Reading

雨が降る前に、上を見る

朝晩に少しだけ風が変わってきましたが、これから本番を迎えるもの台風です。

菊池です。

毎年この時期になると、九月の大きな雨のあとに「天井にシミが出た」というご連絡をいただく場合があります。そして現地に伺うと、原因が台風そのものではないことが少なくありません。もともと詰まりかけていた、外れかけていた、切れていた。そこに強い雨と風が来て、限界を超えた。順番としては、そういうことが多いんです。

そこで、雨が降る前に一度だけ上を見ていただきたいと思っています。難しい点検の話ではありません。地上から見上げてわかることが、意外とあります。

まずは雨樋です。夏のあいだに落ち葉や砂が溜まって、水が流れきらなくなっている家は本当に多い。雨の日に樋の途中から水が滝のようにこぼれていたら、そこが詰まっています。次にバルコニーの排水口。ここは目線の高さで確認できますから、落ち葉やほこりを取り除くだけで、かなり違います。

それから外壁の目地です。指で押してみて、ゴムが硬くなっていたり、細く切れていたりしたら、そろそろ手を入れる時期です。屋根については、棟の板金を留めているビスが浮いて、金物が少し波打って見えることがあります。双眼鏡やスマートフォンのカメラで拡大して見る程度にしてください。ご自身で屋根に上がるのだけは、本当にやめていただきたいです。毎年、その事故の話を聞きます。

そしてもうひとつお願いしたいのが、記録を残すことです。日付を入れて写真を撮っておく。それだけで、次に何かあったときに「前からこうだったのか」「この一年で進んだのか」が判断できます。わたしたちが建物100年サポートで点検の記録を蓄積しているのも、理由は同じです。一回の点検は、その日の状態しかわかりません。二回目からが診断になります。

見上げてみて気になるところがあれば、遠慮なくご連絡ください。降ってからだと、どうしても応急処置が先になってしまいますので。

それでは、また。

No.7218

★LINE登録はこちらです★

Continue Reading

壁が、熱を持っていない

お盆が明けて、現場もようやく普段どおりに動きはじめました。

菊池です。

先週の終わりに、外壁の仕上げが終わった現場へ行ってきました。その日の日中は三十四度。駐車場に停めた車のボンネットは、触れたら思わず手を引っ込めるくらいの熱さでした。ところが建物の南面に回って外壁に手を当てると、ほんのり温かい程度なんです。壁が熱を溜め込んでいない。何度立ち会っても、ここは少し不思議な感じがします。

わたしたちの家は「クワトロ断熱」という考え方で外まわりをつくっています。四つ、というのは材料の数ではなく、持たせている性能の数です。遮熱、断熱、調湿、透湿。この四つを、外側から順に重ねた材料に分担させています。

いちばん外側は中空セラミックを混ぜ込んだ塗り壁で、太陽の光を七割以上跳ね返します。熱を防ぐというより、そもそも受け取らない。その内側に外断熱のボードがあり、さらに内側にセルローズファイバー、いちばん室内側に漆喰や無垢材の壁が来ます。手のひらに熱が伝わってこなかったのは、外側で光を返しているからです。

夏の家づくりの話になると、断熱材の厚さの話に行きがちです。もちろん厚さも効きますが、真夏に効くのは、その前段で日射をどれだけ受け取らずに済ませるかのほうだと感じています。屋根と壁が焼けてしまったら、内側で何をしても後追いになります。

もうひとつが湿度です。同じ二十八度でも、湿気が抜けている部屋と、こもっている部屋では体感がまるで違います。セルローズファイバーと漆喰は、湿気の多いときに吸って、乾いたら吐き出す。だから設定温度をむやみに下げなくても、それなりに過ごせてしまう。

完成見学会でお客様が玄関に入って「あ、涼しい」とおっしゃることがありますが、あれは温度計の数字の話ではないと思っています。壁が熱くない、空気が重くない。そのふたつが揃ったときの感じ方なんだろうと。

残暑はまだ続きます。もしこの時期に見学の機会があれば、ぜひ壁に手を当ててみてください。

それでは、また。

No.7217

★LINE登録はこちらです★

Continue Reading

盆明けの、朝いちばん

盆休みが明けました。今朝は、いつもより少し早く現場に入った方も多いと思います。

菊池です。

休み明けの現場でまずやることは、掃除です。段取りの確認より先に、掃き掃除から始まります。

弊社には昔から「現場のショールーム化」というスローガンがあります。誰がいつ来ても、感動と安心を持って帰ってもらえる現場にしよう、という考え方です。基本施策のひとつとして、いまも掲げています。

きれいな現場にしましょう、と言うと、体裁の話に聞こえるかもしれません。実際には、少し違います。

整理されていない現場は、危ない。資材が通路にはみ出していれば、そこでつまずきます。工具が散っていれば、探す時間が積み重なります。そして、汚れた現場では、細かい仕事が雑になっていきます。順番としては、まず安全があって、次に品質があって、その結果として見た目がついてくる。だから掃除を最初にします。

もうひとつ、現場は施工業者にとっての職場でもあります。安全で、作業しやすい。その視点を忘れた現場は、結局いい仕事になりません。

この考え方を、いまは職場すべてに広げようとしています。事務所も、車の中も、机の上も同じだろう、と。これはこれで、耳の痛い話ではあります。

近隣の方への影響も、そこに含まれます。工事をしている以上、音も出ますし、車も出入りします。それでも、朝の掃き掃除を道路まで広げておくかどうかで、受け取られ方はずいぶん変わります。工期の間だけの関係ではなく、そのあともわたしたちはこの地域で仕事を続けます。

家づくりをご検討中の方には、ぜひ工事中の現場を見ていただきたいと思っています。完成した家は、どこの会社でもきれいです。差が出るのは、途中です。足場の中がどうなっているか、養生がどこまでされているか、職人が挨拶をするかどうか。そのあたりに、その会社の仕事の姿勢が出ます。

見学のご希望があれば、お声がけください。抜き打ちで来ていただいても構いません。むしろ、そのほうがありがたい。

さて、今週も暑くなりそうです。現場のみなさん、水分と休憩を。

それでは、また。

No.7216

★LINE登録はこちらです★

Continue Reading

残すものを、先に決める

築五十年の家をリノベーションしたことがあります。座間市の、二世帯のお住まいでした。

菊池です。

こういう仕事で最初に決めるのは、どこを新しくするかではありません。何を残すか、のほうです。

順番が逆に思われるかもしれません。ただ、残すものが決まっていないまま解体に入ると、たいてい全部なくなります。現場では、剥がすほうが早くて確実だからです。あとから「あの建具、取っておけばよかった」となっても、もう戻せません。

では何を残すか。多いのは、太い柱や梁です。いまの材料では手に入らない寸法のものが入っていることがあります。それから、古い建具。欄間やガラス戸には、当時のガラスが残っていたりします。あとは、子どもの背丈を刻んだ柱の傷。こればかりは、金額の話ではありません。

反対に、変えるべきものははっきりしています。耐震と断熱、それから水まわりです。

昭和五十六年より前に着工した建物は、いまとは違う耐震基準でつくられています。柱や梁を活かすと決めたなら、そのぶん構造の補強はきちんと行う。断熱も同じで、外まわりの性能を上げないと、いくら内装をきれいにしても、夏に暑くて冬に寒い家のままです。

ここで難しいのは、残したいものと、残せるものが一致するとは限らないことです。柱を残したいと思っても、その位置に壁が要る、あるいは腐りが入っている、ということが起こります。その場合は、無理に残さず、別のかたちで使う方法を探します。梁を化粧材として見せる、建具を別の場所に建て込む、板を家具の天板に加工する。原型のままでなくても、その家にあったものが残れば意味はあると考えています。

残すことは、必ずしも安く済む方法ではありません。既存を活かしながら手を入れるほうが、手間も判断も増えます。それでも選ぶ理由があるとすれば、新築では絶対に手に入らないものがそこにあるから、ということに尽きます。時間の積もった木の色は、新品では出せません。

解体前に、ご家族と一緒に家の中を歩く時間をいただくようにしています。ここは残したい、ここは思い入れがない。そう伺いながら、印をつけていく。

新しくすることと、なかったことにすることは、違います。

それでは、また。

No.7215

★LINE登録はこちらです★

Continue Reading

電球ひとつから、伺います

夏休みで家にいる時間が長くなると、普段は気にならなかったところが目につきます。

網戸が破れたまま。洗面の蛇口が、ぽたぽたと落ちている。廊下の電球が切れて、そのうち替えようと思ったまま何ヶ月か経っている。

菊池です。

どれも、大きな不具合ではありません。だから後回しになります。そして「これくらいのことで工事屋を呼ぶのは気が引ける」となって、さらに後回しになる。

わたしたちには「応援団」という組織があります。お引き渡しをさせていただいたお客様を中心とした、会社を応援してくださる方々の集まりです。基本施策のひとつに「応援団10,000人」と掲げています。強い会社の条件は、多くのファンに支えられていることだと考えているからです。

その応援団員の方に向けて用意しているのが、「100の暮らしサポートメニュー」です。

蛇口のパッキン交換。網戸の張替え。建具の調整。無垢床の凹み補修。塗り壁のクラック補修。LED電球の交換。このあたりは、まあ建設会社らしいところだと思います。

ただ、下のほうまでたどっていくと、少し様子が変わります。家具の組立て。家具移動の手伝い。家具転倒防止器具の取付け。階段すべり止めの取付け。草むしり。植栽の剪定。買い物の代行。お留守番。ペットの散歩。日曜大工サポート。工具のレンタル。

はじめてご覧になった方には、たいてい笑われます。建設会社が犬の散歩をするのか、と。

生まれた経緯は単純で、実際にご相談をいただいたからです。高いところの電球が替えられない。庭の木が伸びすぎて手に負えない。組み立てられない家具が箱のまま置いてある。家のことで困っているのに、どこに頼めばいいのか分からない。そういう声を断らずに受けているうちに、気づけば百近くになっていました。

金額も、すべて表に出しています。蛇口のパッキン交換なら三千円から、といった具合です。細かい用事ほど「頼んだらいくら取られるか分からない」という不安がつきまといます。そこを先に消しておかないと、結局ご相談いただけません。専用のアプリからもお申し込みいただけます。

家は、建てて終わりではありません。何かあったときに、顔の分かる相手がいる。それが地域でやっている会社の役目だろうと思っています。

まだ暑い日が続きます。脚立に乗るような用事は、無理をせずお声がけください。

それでは、また。

No.7214

★LINE登録はこちらです★

Continue Reading

「要するに、どういうことか」

打ち合わせから戻る車の中で、自分の説明は長かったな、と反省することがあります。話しているうちに、あれもこれもと付け足してしまう。相手の顔が少し曇ったところまで、あとから思い出したりします。

今月の課題図書は、羽田康祐さんの『本質をつかむ』でした。

菊池です。

本書は、物事の本質を見抜く力を七つに分けて解説しています。意味、原因、目的、特性、価値、関係、大局。それぞれについて、なぜその力が要るのか、どういう順番で頭を使えばいいのかが整理されていました。

読みながら思い出したのが、弊社の企業理念です。三つある項目の二番目に、「大自然のごとく執着停滞する事無く、本質を見極め理解されるよう努力すべし」とあります。入社してから何度も目にしてきた一文ですが、では本質を見極めるとは具体的に何をすることなのか。そう問われると、これまでうまく答えられずにいました。

七つのうち、自分に足りていないと感じたのは「目的」を見抜く力です。何のためにそれをするのかを、繰り返し自分に問い直す。そのうえで、それが本当の目的かどうかを確かめる。

家づくりの打ち合わせでも、同じことが起きています。「対面キッチンにしたい」とご要望をいただいたとき、そのまま図面に落とすのは簡単です。でも、その奥にあるものが「子どもの様子を見ながら料理したい」なのか、「片づけの動線を短くしたい」なのかで、答えは変わります。前者なら、必ずしも対面である必要はないかもしれません。

言われたとおりにつくることと、望まれたものをつくることは、似ているようで違う。分かっているつもりで、まだできていないところです。

もっとも、本を一冊読んだくらいで身につくものではない、と著者自身が書いています。筋トレのようなもので、日々の習慣で少しずつ鍛えるものだ、と。最終章には一週間分のトレーニングまで用意されていて、そこまで言われると、やってみるほかありません。

まずは、休み明けの会議で自分が話す内容を、一度「要するに何か」で削ってから持っていこうと思います。

それでは、また。

No.7213

★LINE登録はこちらです★

Continue Reading

錆びて穴があいた、そこだけ直す

工場や倉庫を持っておられる方から、鉄の階段や扉の錆をどうにかしたい、というご相談をいただくことがあります。

見積りを取ってみたら思っていたより高くて、そのままになっている。よく聞く話です。

菊池です。

錆で欠けたり穴があいたりした部分は、これまで溶接や板金で直すしかありませんでした。部材ごと交換になることも多い。だから金額が跳ね上がり、工期も延び、結局「まだ使えるから」と先送りになります。

そこでわたしたちが扱っているのが、ソルプロという修復工法です。

紫外線を当てると硬化する光硬化樹脂で、錆で欠損した箇所をその場で埋め、グラインダーやサンダーで削って元の形に戻します。硬化は照射器で二十秒ほど。フェンスの穴なら、一時間程度で塗装まで終わります。

見た目を直すだけではありません。密着力が高く、錆の原因になる水分と酸素を遮ります。赤錆の進行も専用の防錆剤で止めますので、一般的な錆止めより長く保ちます。

鉄製の外部階段や手すり、非常階段。工場の外壁や扉、倉庫の錆穴。キュービクルのような鉄製の箱。室外機や分電盤。このあたりでのご依頼が多いところです。学校や病院でも使われています。鉄以外に、金属全般や樹脂、コンクリートにも使えます。ガラスやシリコン、ポリカーボネートには使えません。

湿っている状態では施工できませんので、梅雨明けから秋にかけては段取りの取りやすい時期でもあります。工場を止めずに、休憩時間や夜間に一箇所ずつ進めるといったやり方もできます。足場を組まずに済む高さであれば、その分の費用も日数もかかりません。

正直に申し上げると、これは全面改修の代わりになるものではありません。ただ、「あと十年もたせたい」という場面には、よく合う工法だと思っています。建て替えや全面交換の判断を、十年先へ送れる。その十年で、計画も予算も整えられます。

研修を受けた者だけが施工できる材料ですので、まずは現物を見せてください。写真一枚からでも、おおよその判断はできます。

それでは、また。

No.7212

★LINE登録はこちらです★

Continue Reading

使わないと決めているもの

モデルハウスに入って少し経つと、「なんだか空気が違いますね」と言われることがあります。この時期は特に多い。外の湿気を引きずったまま入ってこられて、しばらくして、ふとそう仰る。

菊池です。

理由をご説明するとき、わたしたちは「何を使っているか」より先に、「何を使っていないか」からお話しすることが多いです。

家づくりの話は、たいてい足し算で進みます。あの設備を入れたい、この床材にしたい。カタログをめくっている時間は、純粋に楽しいものです。ただ、わたしたちが「0宣言の家」と呼んでいる家づくりは、引き算から始まっています。

合板、集成材、木工ボンド、ビニールクロス。長持ちしにくい建材、化学物質を発する建材、健康に悪影響を与える建材を、使わないと決める。害のあるものをゼロにする、という意味で0宣言です。

厄介なのは、この引き算がほとんど目に見えないことです。無垢の床や漆喰の壁は、見ればわかります。けれど断熱材、基礎に使う材料、塗料、接着剤といったものは、完成してしまえば誰の目にも触れません。仕上げだけを自然素材にして、内側は一般的な建材のまま、という家もあります。それでも見た目は変わらない。

見えないところで手を抜かないというのは、口にするのは簡単で、続けるのは面倒です。材料の選択肢は減りますし、コストも上がる。それでも続けているのは、住み始めてからの何十年に効いてくるのが、まさにそこだと考えているからです。

自然素材には調湿の働きがあります。そこに高性能なサッシとガラスを組み合わせた「クワトロ断熱」という工法で、夏の暑さと冬の寒さをしのぎます。冒頭の「空気が違う」は、この組み合わせの結果だろうと思っています。

ちなみにこの家づくりについては、医師の監修のもとで取得したエビデンスも持っています。気持ちのいい家です、という感覚の話だけで終わらせたくなかった、ということです。

とはいえ、言葉で説明するより、一度入っていただくほうが早い部分ではあります。矢部のモデルハウスは、この夏もエアコンを控えめにしてお待ちしています。

それでは、また。

No.7211

★LINE登録はこちらです★

Continue Reading