手すりの高さは、使う人の背丈で変わってくる

秋になり、外を散歩する方の姿を見かけることが増えました。歩きやすい季節は、足元や手元の支えについて考えるのにも、いい時期だと思っています。

菊池です。

わたしたちは住宅のほかに、工場や事務所、福祉施設といった建物も手がけています。社内では特殊建築と呼んでいる仕事です。今日は、福祉施設の仕事で手すりを付けるときに考えていることを書いてみます。

手すりの高さには、目安になる寸法があります。床から何センチくらい、という数字です。設計はまず、その数字から始めます。ただ、実際の現場では、それだけで決めきれないことがよくあります。

使う方の背丈は、一人ひとり違います。腰を少しかがめて歩く方もいれば、杖を使う方もいます。車いすから立ち上がるときに、つかまる場所が欲しい方もいます。同じ廊下でも、どなたがいちばんよく通るのかによって、ちょうどいい高さは数センチ変わってきます。数センチと聞くと小さな差に思えますが、毎日何度も握るものなので、その差がそのまま歩きやすさにつながります。

ですから、打ち合わせでは、図面と同じくらい、ふだんの様子を伺うようにしています。どこで立ち止まることが多いのか、どちらの手で支えているのか。職員の方が見ている日々の動きのほうが、図面よりずっと多くのことを教えてくれます。

これは、住宅でもまったく同じです。手すりを付けるなら、家族の誰のためのものか、その人がどこで、どんなふうにつかまるのか。そこを先に確かめておくと、付けたのに使われない手すりを減らせると考えています。

建物の大小にかかわらず、使う方の目線で考える。それが、わたしたちの仕事の基本です。

それでは、また。

No.7269

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