建てないで、使い方を変える

住宅以外の建物を扱う部門にいると、ここ数年で明らかに増えたご相談があります。「この建物、別の使い方にできませんか」というものです。

菊池です。

例えば、使わなくなった倉庫を店舗にしたい。事務所だったところを、子ども向けの教室にしたい。作業場の一部を、地域の人が集まれる場所にしたい。新しく建てるのではなく、いま建っているものの役割を変える。土地の値段や工事費が上がっているいま、これは現実的な選択肢だと思っています。

ただ、内装を変えれば済む、という話ではありません。建物の使い方を変えると、法律上の扱いそのものが変わります。人が多く集まる用途になると、避難のための出口や通路、内装に使える材料、非常用の照明といった要件が、住宅や倉庫のときとは別物になります。床面積が一定の規模を超える場合には、用途を変えるだけでも確認申請が必要になります。

ここで最初の関門になるのが、既存の書類です。検査済証が見つからない建物が、思いのほか多い。書類がないと、いまの建物が当時の法律にきちんと適合していたことを説明できません。その場合は調査から入ることになり、時間も費用もかかります。逆に言えば、書類が揃っている建物は、それだけで話が早く進みます。

ですから、この種のご相談をいただいたとき、わたしたちが最初にお願いするのは、図面と確認済証、検査済証を探していただくことです。倉庫の奥の段ボールから出てきた、ということも実際にありました。

こうした仕事は、正直、派手ではありません。完成しても、新築のような見栄えの変化があるとは限らない。それでも、誰も使わなくなった建物に人が出入りするようになるのを見ると、これは残す仕事だったな、と思います。

お手元の建物で気になっているものがあれば、構想の段階でお声がけください。できるかどうかを先に見極めるのが、いちばんお金のかからない進め方です。

それでは、また。

No.7221

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