津波防災の日に、家族の「集まる場所」を決めておく

11月5日は津波防災の日です。1854年の安政南海地震のとき、積み上げた稲の束に火を放って村人を高台へ導いたという「稲むらの火」の話にちなんだ日です。

菊池です。

相模原は海から離れていますので、津波を身近に感じる方は少ないかもしれません。それでも、大きな地震はどこにいても起こりえます。今日は、地震のあとに家族がどう落ち合うかを考えてみたいと思います。

平日の昼間は、家族が別々の場所にいることがほとんどです。仕事に出ている人、学校にいる子ども、家にいる人。電話がつながりにくくなったとき、どこに集まるかが決まっていないと、お互いを探し回ることになりかねません。

まず決めておきたいのは、家が無事な場合と、家に入れない場合の二つの集合場所です。家に入れない場合は、近くの避難場所や公園など、家族全員が道順を知っている場所がいいと思っています。あわせて、災害用の伝言サービスの使い方も、一度確かめておくと安心です。

家づくりのご相談でも、備えの話はよく出ます。備蓄の置き場所、家具の固定、停電したときの明かり。住まいの側でできることもたくさんありますが、家族の約束は、建物では用意できないものです。図面に書かれていないことを埋められるのは、結局そこだと思っています。

決めた場所は、冷蔵庫に貼っておくくらいで十分です。年に一度、今日のような日に見直せば、子どもの成長に合わせて約束も変えていけます。

今夜の食卓で、少しだけ話してみてはいかがでしょうか。

それでは、また。

No.7296

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文化の日に、家の中で受け継ぎたいものを考える

今日は文化の日です。晴れることが多いと言われる日で、祝日をどう過ごそうかと考えている方も多いのではないでしょうか。

菊池です。

文化と聞くと、美術館や伝統芸能のような、少し遠いものを思い浮かべがちです。けれど、わたしは家の中にも小さな文化があると思っています。その家ならではのやり方や、使い続けてきたもの、大事にしてきた習慣のことです。

古いお宅の点検に伺うと、柱に子どもの背比べの傷が残っていることがあります。鉛筆で書いた線と日付が、何本も並んでいる。あるいは、何十年も使われてきた木の踏み台や、きちんと手入れされた縁側。どれも図面には書かれていませんが、その家の時間をいちばんよく語ってくれるものだと感じています。

新しく家を建てるとき、つい性能や間取りの話が中心になります。それはもちろん大切です。ただ、ご相談を長く受けてきて感じるのは、住み始めてから少しずつ育っていくものこそが、家を「わが家」にしていくということです。

たとえば、季節ごとに飾るものを決めておく。お正月の準備を家族で分担する。無垢の床に年に一度ワックスをかける日をつくる。どれも小さなことですが、続けていくうちに、その家の決まりごとになっていきます。子どもたちが大きくなったとき、ふと思い出すのは、案外そうした風景なのかもしれません。

受け継ぐというと大げさに聞こえますが、まずは「この家で続けていきたいこと」をひとつ決めてみる。そこから始まる文化もあると思っています。

せっかくの祝日です。家の中を見回して、残していきたいものをひとつ探すくらいから、始めてみてください。

それでは、また。

No.7294

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紅葉の便りが届くころ、窓は景色を切り取る額縁になる

11月に入り、山のほうから紅葉の便りが届き始めました。少し足をのばして見に行くのもいいですが、家の窓から色づいた木が見えると、それだけで得をしたような気持ちになります。

菊池です。

家づくりのご相談で、窓は「大きく、たくさん」と希望されることがよくあります。明るい家にしたい、という気持ちはよく分かります。ただ、窓を考えるときにわたしが大事にしているのは、大きさよりも、そこから何が見えるかということです。

窓は、外の景色を切り取る額縁のようなものだと思っています。隣の家の壁が正面にある大きな窓より、庭の一本の木や遠くの山並みだけが見える小さな窓のほうが、ずっと心に残ることがあります。見せたいものだけを見せ、見せたくないものは外す。周りの景色を自分の庭の一部のように取り込む考え方を、借景と言います。

もうひとつ、窓の高さも大切です。立って見るのか、ソファに座って見るのか、床に座って見るのかで、ちょうどいい高さは変わってきます。座ったときに目の高さに景色が来る窓は、季節の移り変わりを、暮らしの中で自然に感じさせてくれます。

そのため、土地を見に行くときには、どの方向に何が見えるかを、できるだけ一緒に確かめるようにしています。冬は葉が落ちて見通しがよくなり、夏は緑が目隠しになる。そういう季節ごとの変化も、窓を決める手がかりになります。

窓の向こうに何を見たいか。家づくりのときに、一度考えてみていただけたらと思います。

それでは、また。

No.7292

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読書週間のはじまりに、家の中に「本を開く場所」をひとつ

今日から読書週間が始まります。11月9日までの2週間、日が短くなって夜が長くなる、ちょうど本を読みたくなる季節です。

菊池です。

家づくりのご相談で「書斎がほしい」というお話は、よく伺います。ただ、詳しくお聞きしていくと、ほしいのは独立した部屋そのものというより、落ち着いて本を開ける場所だったりします。間取りに余裕がないから書斎はあきらめる、という前に、ほかの形も考えてみていいのではないかと思っています。

たとえば、窓辺にひとり掛けの椅子をひとつ置く。階段の踊り場や廊下の行き止まりに、腰かけられる奥行きの棚をつくる。リビングの一角に、壁に向かって小さなカウンターを設ける。どれも一畳に満たない広さですが、そこに座れば本の世界に入れる、という場所になります。

こうした場所で大事になるのは、広さよりも明るさと座り心地です。昼間は窓からの光が手もとに落ちるか、夜は天井の照明とは別に、手もとを照らす明かりを置けるか。そのためのコンセントが近くにあるかどうかで、使いやすさがかなり変わってきます。図面の上では見落とされやすいところです。

もうひとつ、本棚は手の届くところに小さく、がいいと感じています。大きな本棚に全部を並べるより、いま読みたい数冊がすぐ取れる棚のほうが、本を開く回数は増えるようです。家族それぞれの「いまの一冊」が並ぶ棚というのも、なかなかいいものです。

この秋は、家の中で本を開く場所を、ひとつ決めてみてはいかがでしょうか。

それでは、また。

No.7287

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霜降と重なる十三夜は、片見月にしないほうがいい

今日は二十四節気の霜降です。朝の空気が一段と冷たくなり、山のほうから紅葉の便りが届きはじめるころです。

菊池です。

そして今夜は十三夜でもあります。9月の中秋の名月から、およそひと月後の月です。後の月とも呼ばれ、満月より少しだけ欠けた形をしています。昔から、中秋の名月と十三夜は両方そろえて見るものとされ、片方だけ見ることを片見月といって、縁起がよくないと言われてきました。

先月、中秋の名月を家のどこから見るかという話を書きました。今夜はその続きのような気持ちでいます。言い伝えを信じるかどうかは別として、ひと月前に見上げた月を、もう一度同じ場所から見てみる。それだけで、季節がひとつ進んだことが体で分かる気がしています。

十三夜は、栗名月や豆名月とも呼ばれます。ちょうど栗や枝豆が出回る時期だからだそうです。立派なお供えでなくても、夕ごはんに栗ごはんを炊く、枝豆をゆでる。それくらいの小さなお月見で十分だと思っています。食卓に季節のものがひとつ並ぶだけで、家族の会話が少し変わったりします。「今日は何の日だっけ」と聞かれたら、それがもう、お月見の始まりです。

住まいのことでいえば、部屋の明かりを少し落とすと、窓の外がよく見えるようになります。天井の照明を消して、手元の灯りだけにしてみる。月を見るための特別な場所がなくても、窓がひとつあれば、家の中から季節を眺めることはできます。

片見月にならないように、今夜は少しだけ空を見上げてみてください。

それでは、また。

No.7283

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秋の夜長は、天井の照明をひとつ消してみる

日が落ちるのが、ずいぶん早くなりました。夕方の5時を過ぎると、もう部屋の明かりをつける時間です。

菊池です。

秋の夜長という言葉があるように、これからの季節は、家で過ごす夜の時間が長くなります。そこで一度試していただきたいのが、天井の照明をひとつ消して、低い位置の明かりだけで過ごしてみることです。

日本の住まいは、天井の真ん中にひとつ大きな照明をつけて、部屋全体を明るく照らす形が多いと思います。勉強や家事をするには便利です。ただ、くつろぐ時間にまで、昼間のような明るさが必要かというと、そうでもない気がしています。

夕方の光を思い浮かべると、分かりやすいかもしれません。日が傾くと、光は低い位置から横に差し込み、色もだんだん暖かくなっていきます。人の体は、その変化を感じて、少しずつ休む準備をしているのだと思います。夜も天井から白い光を浴び続けていると、どこか落ち着かないのは、そのためではないでしょうか。

試し方は簡単です。ソファの横にフロアランプをひとつ、棚の上に小さなランプをひとつ。明かりを一か所に集めず、部屋のあちこちに散らすように置くと、暗さが心地よい陰影に変わります。電球は、少し黄色みのある暖かい色がおすすめです。

家づくりのご相談でも、照明は後回しにされやすいところです。けれど、どこに、どの高さで、どんな色の明かりを置くかで、同じ部屋でも夜の表情はまったく違ってきます。コンセントの位置ひとつで、置ける照明も変わってきます。

今夜は、少しだけ暗めの部屋で過ごしてみませんか。

それでは、また。

No.7276

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秋の夕方、家に帰ってほっとする理由

気がつけば、夕方5時半を過ぎると、外がすっかり暗くなるようになりました。日が短くなると、家に帰る時間の景色も変わってきます。

菊池です。

お客様と家づくりの話をしていると、「帰ってきたときに、ほっとできる家にしたい」というご要望をよくいただきます。とても大事なことだと思う一方で、その「ほっとする」が何から来ているのかは、ご本人も言葉にしにくいようです。

わたしなりに考えてみると、それは玄関を開けた最初の数秒で決まっているような気がします。外から見える明かりの色、扉を開けたときのにおい、家の中から聞こえてくる音。どれも小さなことですが、一日の終わりに、体がまず受け取るものです。

たとえば明かり。秋の夕方は、暗くなってから家に入ることが多くなります。そのときに真っ白な光よりも、少し温かい色の光が迎えてくれると、気持ちがゆるむという方は多いのではないでしょうか。玄関に入ってすぐ、木の床や壁の質感が目に入ることも、同じように効いていると感じています。

においも見逃せません。無垢材や漆喰のような自然素材の家では、帰ったときにふっと木の香りがする、というお話をよく伺います。毎日のことなので、住んでいる方は慣れてしまうのですが、旅行から戻った日などに、あらためて気づかれるそうです。

間取りや性能の打ち合わせでは、どうしても数字や図面が中心になります。ただ、暮らしの満足を左右するのは、こうした数字にしにくい部分だったりします。家づくりではなく、暮らしづくり。玄関の一歩目は、その象徴のような場所だと思っています。

連休の夕方、ご自宅の玄関を少しだけ意識して開けてみてください。

それでは、また。

No.7271

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衣替えの日に、収納の「量」より奥行きを考える

10月1日は衣替えの日。朝晩の空気が変わってきて、そろそろ長袖を出そうかと考える頃です。

菊池です。

衣替えのたびに「うちは収納が足りない」と感じる方は多いと思います。ただ、実際にお宅を拝見すると、足りないのは量ではなく、かたちが合っていないことのほうが多かったりします。なかでもよく見かけるのが、奥行きの問題です。

押し入れは、もともと布団をしまうための深さでつくられています。そこに衣類のケースを入れると、手前のケースは使えても、奥のケースはほとんど開けられません。奥にしまったものは、存在ごと忘れられていく。何年も開けていない箱が奥から出てくることも、珍しくありません。

高さも同じです。天袋や吊り戸棚の最上段は、踏み台がないと届かない。届かない場所は、使わない場所になっていきます。収納の容量を増やしても、手が届き、目に入る範囲が広がらなければ、使える量は変わらないのです。

家づくりの打ち合わせで収納を考える時、わたしたちは「何をどこで使うか」から伺うようにしています。衣類なら、着替える場所、洗濯物を畳む場所、しまう場所がどれくらい離れているか。その動きに沿って、浅くても手前から全部見渡せる棚を置く。それだけで、同じ面積でも収まり方がずいぶん変わります。

今のお住まいでも、奥のケースを手前に出して、よく使うものだけを見える位置に並べ直すだけで、使い勝手は変わってきます。

衣替えのついでに、収納の奥をひとつだけのぞいてみてください。

それでは、また。

No.7261

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9月の終わりに、家の「やり残し」をひとつだけ決める

今日で9月が終わります。会社によっては、上半期の締めくくりの日でもあり、何かと慌ただしい一日です。

菊池です。

年度の折り返しとなるこの時期になると、「そういえば、あれをやろうと思っていたのに」と思い出すことがあるのではないでしょうか。網戸の張り替え、きしむ床、換気扇の掃除、外壁の小さなひび。家のことは急ぎではないぶん、後回しになりやすいものです。

ご相談を長く受けてきて感じるのは、こうした「やり残し」は、数が増えるほど手がつけられなくなるということです。全部を並べて眺めているうちに、どれから始めればいいのか分からなくなり、結局どれにも手をつけないまま次の季節を迎えてしまう。気持ちの重さだけが、少しずつ積み上がっていきます。

そこでおすすめしたいのが、ひとつだけ決めることです。気になっていることを紙に書き出して、その中から今月やるものをひとつ選ぶ。選ぶ基準は、放っておくと傷みが広がるもの。水まわり、屋根まわり、外まわりの順で考えると、たいてい迷わずに済みます。

選んだら、カレンダーに日付を書いてしまいます。ご自身でやるにしても、どこかに頼むにしても、日付が決まると物事は動き始めます。残りは来月、またひとつ選べばいい。それくらいの速さでも、家とは十分に付き合っていけると思っています。

完璧に整った家より、気になるところに順番に手が入っている家。そのほうが、長く住みやすいのではないでしょうか。

明日から10月です。下半期の最初のひとつを、何にするか考えてみてください。

それでは、また。

No.7260

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中秋の名月を、家のどこから見るか

今夜は中秋の名月です。空が晴れていれば、きれいな月が見られるかもしれません。

菊池です。

お月見という習慣は残っていますが、実際に家の中から月が見える場所がある家は、意外と少ないように思います。窓の外に電線が走っていたり、ちょうど隣の建物が重なっていたり。見ようと思った時に、どこから見ればいいのか分からない。

設計の打ち合わせで、「月が見えるようにしてください」とご要望をいただくことは、まずありません。景色の話は出ますし、日当たりの話はほぼ必ず出ます。けれども夜空のことが話題になることは、ほとんどないのが実際のところです。

ところが住み始めてしばらく経った頃に、「ここから月がよく見えるんです」と教えてくださる方は少なくありません。階段の踊り場の窓だったり、洗面所の高い位置の小さな窓だったり。こちらが意図して計画した場所ではなく、たまたまそうなった窓であることのほうが多いのが面白いところです。

窓は、明るさと風のために計画します。それは間違っていません。ただ窓の役目はそれだけではなくて、外で流れている時間を家の中に入れるための場所でもあるのだと、そういう話を聞くたびに思います。季節が変わったことも、雨が上がったことも、たいてい窓越しに気づきます。

秋は空気が澄んで、月がよく見える季節です。特別な場所をつくらなくても、いつもの窓から見上げるだけで十分だと思っています。

今夜、少しだけ窓を開けて、空を見上げてみてください。

それでは、また。

No.7255

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