建物にも、健康診断を

工場やビル、マンションを所有されている方から、こんなご相談をいただきます。

雨漏りしそうで気になっている。今まで頼んでいた会社が廃業してしまって困っている。古い工場の、どこをどの程度直せばいいのか分からない。マンションの修繕を、そもそもどこに相談すればいいのか。

どれも、切羽詰まってからのご連絡です。そして切羽詰まってからでは、たいてい高くつきます。

菊池です。

建物は雨風をはじめ、厳しい外的環境の影響を受け続けています。部材や部品の経年劣化は避けられません。大事なのは、定期的に診て、早めに手を打つこと。人間の体と同じです。

そこでわたしたちは、建物の定期健康診断を無料で実施しています。

調査の方法をご紹介します。まず、屋上や屋根はドローンで撮影します。足場を組まずに全体を確認できるので、その分の費用も日数もかかりません。次に、赤外線サーモカメラ。屋根の表面温度を測り、雨漏りしている箇所や断熱が欠けているところを特定します。目には見えない不具合が、温度差として画面に出てきます。

そのうえで、触って、叩いて、目で見る。チェックリストに沿って、抜けのないように進めていきます。

結果は「診断書」としてレポートにまとめてお渡しします。カルテのようなものです。いまこの建物がどういう状態にあるのかを、プロの目線から客観的にお伝えし、そのうえで保全の計画をご提案します。

計画的に修繕を進めていけば、準備も費用も少なくて済みます。逆に、使用の限界まで放置した建物は、修繕に費用も手間も数倍はかかるとお考えください。

大事な建物です。60年、70年と使い続けられるように、定期的な点検を。

御社の建物の、かかりつけ医としてお使いいただければと思います。

それでは、また。

No.7207

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立秋。家の「音」のこと

今日は立秋です。暦の上では、今日から秋。とはいえ外は相変わらずの暑さで、秋を名乗るにはいささか無理があります。

二十四節気をさらに細かく分けた七十二候では、立秋の最初の五日間を「涼風至(りょうふういたる)」と呼ぶそうです。涼しい風が立ちはじめる頃、という意味。今日から出すお便りは、暑中見舞いではなく残暑見舞いになります。

菊池です。

季節の変わり目は、耳で気づくことがあります。夕方、ひぐらしの声が混じりはじめる。あの声を聞くと、ああ、夏も折り返したな、と思う。

音の話が出たので、少し家の話に寄せます。

家の中の音について、設計の段階で相談されることは、ほとんどありません。間取りや設備と違って、図面に描けないからだと思います。ただ、住み始めてから効いてくる要素として、わたしたちはかなり重視しています。

無垢の床と塗り壁の家は、音の響き方が違います。声が硬く跳ね返らない。ビニールクロスと合板の部屋で話すと、自分の声が少し上ずって聞こえることがありますが、あれが起きにくい。木も漆喰も表面に細かな凹凸があって、音を吸ったり散らしたりしてくれるからです。

だから、家族の会話の声量が自然と下がります。テレビの音量も下がる。ご入居後に「家の中が静かになりました」と言われることがあって、これは断熱による外音の低減もありますが、内側の響きの変化も大きいと感じています。

窓を開ければ、虫の声が聞こえる家。閉めれば、外の音が遠くなる家。どちらも選べるのが、いい家だと思っています。

残暑はこれからが本番です。どうぞご自愛ください。

それでは、また。

No.7206

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名前の出ない建物のこと

「相陽建設さんって、注文住宅の会社ですよね」と言われることがあります。半分は当たっていて、半分は違います。

菊池です。

わたしたちにはもうひとつ、特殊建築という柱があります。学校、公民館、博物館、病院といった公共の施設。会社の社屋や工場、大型店舗。マンションや、木造の特殊建築、鉄筋コンクリート造の住宅。こちらを長年にわたって手がけてきました。

相模原市内のLCA国際小学校。田名公民館の改修工事。市営上九沢団地。町田市の丘陵にある「メモリアルフォレスト多摩」。鎌倉山のカフェ&パティスリー。神奈川県下の建築コンクールで優秀賞をいただいたこともあります。

住宅との一番の違いは、「使う人の顔が特定できない」ことです。

一戸の家であれば、そこに住むご家族の暮らしを伺い、その方に合わせてつくることができます。でも小学校は、これから何十年ものあいだ、まだ生まれていない子どもたちも使う建物です。公民館には、地域のあらゆる年代の方が入れ替わり立ち替わり訪れます。

だから、設計と施工の前に、その建物が何のためにあるのかを深く理解するところから始めます。誰がどんな時間を過ごす場所なのか。人と人とがどこで出会うのか。四季をどう感じてもらえるか。そこを外すと、きれいに建っていても使われない建物になってしまいます。

わたしたちは「満足」ではなく「感動」を商品にしたいと考えています。単なるサービスの範囲では、感動は生まれません。相手の予想を大きく超えたときに、初めて生まれるものだと思っています。

通学路にある学校。休日に立ち寄る公民館。名前が表に出ることのない建物にも、誰かが図面を引き、誰かが現場に立った時間があります。

このあたりを歩いていて、そういう建物にふと出会えるのは、地域でずっとやってきた会社ならではの役得かもしれません。

それでは、また。

No.7204

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建設会社の仕事は、「できないこと」を伝えることでもある。

建築の相談を受ける側として、お客様の希望にはできる限り応えたいと思っています。

菊池です。

しかし、すべての要望に対して、その場で「できます」と答えることが、必ずしも親切とは限りません。

土地や建物の条件、構造、予算、工期、周辺環境などによって、希望通りに実現することが難しい場合があります。技術的には可能でも、費用や将来の維持管理を考えると、別の方法を選んだ方がよいこともあります。

そんな時に大切なのは、単に「できません」と断ることではありません。

なぜ難しいのか。実施した場合にどのような負担やリスクがあるのか。希望の目的を満たす別の方法はないか。そこまで説明して初めて、相手が判断できるようになります。

例えば、大きな窓を設けたいという希望があっても、構造や日射、外からの視線、家具の配置まで考えると、別の大きさや位置の方が暮らしやすい場合があります。

営業中の建物を短期間で改修したいという相談でも、安全や品質を確保できない工程であれば、工期や施工方法を見直す必要があります。

お客様にとっては、期待していた答えと違うかもしれません。

それでも、契約するために都合のよい返事をするより、計画の早い段階で条件を正直にお伝えする方が、完成後の後悔を減らせると思っています。

建設の仕事は、形のあるものを長く残す仕事です。

その場で喜んでいただくだけでなく、使い始めてからも「この判断でよかった」と思っていただけることが大切です。

できることと、難しいこと。その両方を根拠と一緒にお伝えし、納得できる答えを一緒に探す。

それも、建設会社が果たすべき役割だと考えています。

それでは、また。

No.7201

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見積書は、金額より先に「工事範囲」を比べる。

建築や修繕の見積書を複数社から取ったところ、金額に大きな差があり、どれを選べばよいか分からない。そんな相談を受けることがあります。

菊池です。

同じ工事を依頼したつもりでも、見積金額だけを見て「高い」「安い」と判断するのは難しいものです。

なぜなら、見積書に含まれている工事範囲が、会社ごとに違う場合があるからです。

例えば外壁工事でも、足場、養生、下地補修、シーリング、塗装、廃材処分など、必要になる作業はいくつもあります。ある見積書には含まれていて、別の見積書では別途工事になっていることもあります。

使用する材料や施工回数、補修する範囲が違えば、当然金額も変わります。

また、「一式」と書かれた項目が多い見積書は、どこまで含まれているのか確認が必要です。一式という表現自体が悪いわけではありませんが、その内容を双方で共有していないと、工事が始まってから追加費用や認識の違いが生じやすくなります。

見積書を比べる時は、まず項目を横に並べてみてください。

同じ工事が入っているか。数量や面積は合っているか。使用する材料は同等か。含まれていない工事は何か。工事後の清掃や処分まで入っているか。金額を見る前に、この部分を確認することが大切です。

分からない項目があれば、遠慮せずに質問してよいと思います。

その質問に対して、なぜ必要なのか、どこまで施工するのかを分かりやすく説明してくれるかどうかも、依頼先を判断する材料になります。

最も安い見積書が、最も費用を抑えられるとは限りません。逆に、高い見積書が必ずしも十分な内容とも限りません。

大切なのは、必要な工事が適切に含まれ、発注者と施工会社の認識が合っていることです。

それでは、また。

No.7199

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営業を止めずに、改修工事を進めるために。

店舗や工場、事務所の改修について、「営業しながら工事はできますか」と聞かれることがあります。

菊池です。

結論から言えば、建物の用途や工事内容によっては、営業や稼働を続けながら進められる場合があります。

ただし、単純に工事範囲を囲えばよいという話ではありません。

利用する方と工事関係者の動線をどう分けるか。音や振動、粉じん、においが発生する作業をいつ行うか。資材の搬入や廃材の搬出をどこから行うか。電気や水道、空調を止める必要があるか。事前に確認すべきことは数多くあります。

店舗であれば、お客様が利用する時間帯への配慮が必要です。

工場であれば、生産設備や商品の保管環境に影響を与えないことが重要になります。事務所では、電話や会議、日常業務を妨げない施工時間を考えなければなりません。

そこで大切になるのが、工事を小さな区画や工程に分ける考え方です。

建物全体を一度に工事するのではなく、使用する場所を移しながら順番に進める。音の出る作業は休業日や営業時間外に行う。設備の停止が必要な工事は、影響の少ない日時へまとめる。こうした調整によって、事業への負担を抑えられる可能性があります。

一方で、安全や品質を確保できない場合には、無理に営業を続けるべきではありません。

「止めないこと」だけを優先するのではなく、どこまでなら安全に両立できるかを、発注者と施工会社が一緒に検討する必要があります。

改修工事の計画では、完成後の姿だけでなく、工事中に建物をどう使うかまで考えることが欠かせません。

早い段階で営業時間や稼働条件を共有していただくことで、より現実的な施工方法を考えやすくなります。

それでは、また。

No.7198

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雨漏りは、「濡れている場所」が入口とは限らない。

天井や壁に雨染みを見つけると、その真上から雨水が入っているように思います。

菊池です。

しかし、雨水は建物の中を思いがけない方向へ移動します。

屋根や外壁の隙間から入った水が、梁や配管を伝い、入口から離れた場所に現れることもあります。そのため、室内の濡れた部分だけを補修しても、雨漏りが止まらない場合があります。

難しいのは、雨の降り方によって症状が変わることです。

強い雨の時だけ漏れる。風を伴う時に染みが出る。長時間降り続いた後に現れる。台風では問題がなかったのに、別の日の雨で漏れる。こうした違いは、原因を探すための大切な手掛かりです。

雨漏りに気づいた時は、濡れた場所だけでなく、発生した日時や天候、風向き、雨の強さなどを記録しておくと、その後の調査に役立ちます。写真を撮る場合は、染みの近くだけでなく、部屋全体のどの位置か分かる写真も残しておくとよいでしょう。

調査では、屋根、屋上、外壁、窓まわり、設備の貫通部分など、可能性のある箇所を順番に確認します。

目視だけで判断しにくい場合には、ドローンによる屋根や屋上の撮影、赤外線サーモカメラ、打診など、建物や症状に合った方法を組み合わせます。

雨漏りは、見えている症状と水の入口が一致しないことがあるため、「ここを塞げば大丈夫」と早い段階で決めつけないことが大切です。

建物100年サポート事業部でも、まず現在の状態と発生条件を整理し、原因を探したうえで必要な対応を考えます。

雨染みが一度消えても、水の入口がなくなったとは限りません。小さな変化を見つけた時に記録を残し、早めに相談することが、被害を広げないための第一歩です。

それでは、また。

No.7197

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土地選びは、「土地だけ」で決めない方がいい。

家づくりを始める時、最初に土地を探し、その後で建物を考える方は多いと思います。

菊池です。

希望する地域で、駅からの距離も広さも条件に合う土地が見つかると、「先に押さえなければ」と気持ちが動くのは自然なことです。

ただ、土地の条件が良く見えても、希望する家が無理なく建てられるとは限りません。

土地には、道路との高低差、形状、方角、周辺の建物、上下水道の状況など、それぞれ異なる条件があります。土地の価格だけを見て決めると、造成、擁壁、給排水、地盤、外構などに想定以上の費用が必要になる場合があります。

また、同じ広さでも、形や接する道路によって建物の配置は変わります。

日当たりを確保しようとすると庭が小さくなる。駐車スペースを優先すると、希望する間取りが納まりにくい。隣家からの視線を避けるため、窓の位置や大きさを工夫する必要がある。こうしたことは、建物を重ねて考えて初めて見えてきます。

大切なのは、「土地はいくらまで、建物はいくらまで」と完全に分けないことです。

土地、建物、付帯工事、外構、諸費用を含めた総額で考えれば、土地にどこまで予算を使えるかが分かります。土地価格が少し高くても追加工事が少ない場合もあれば、手頃に見える土地でも整備費用がかかることがあります。

SOLE LIVINGでは、土地が決まっていない段階から家づくりの相談をお受けしています。土地を見る時に建築の視点を加えることで、購入後の想定違いを減らしやすくなります。

気になる土地を見つけた時ほど、土地だけで結論を出さず、そこで希望する暮らしが実現できるかを考えてみる。

土地探しと建物計画は、できるだけ一緒に進めるのがよいと思います。

それでは、また。

No.7196

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経験を「その人だけのもの」にしないために。

建設の仕事では、図面やマニュアルだけでは伝え切れない判断が数多くあります。

菊池です。

現場の状況を見て作業の順番を変える。職人さんとの会話から小さな違和感を察知する。天候や周辺環境を考え、予定より早めに準備する。

経験を積んだ人にとっては自然にできることでも、若い社員からすると、「なぜ、その判断になったのか」が分からない場合があります。

ここで先輩が「経験すれば分かる」と言ってしまえば、技術はその人の中に残ったままです。

もちろん、実際の現場を経験しなければ身につかないことはあります。それでも、判断の理由や見るべきポイントを言葉にして伝えれば、成長の速度は変わると思います。

失敗事例を共有することも大切です。

うまくいった現場だけを振り返ると、結果は分かっても、その途中で何に迷い、どこを修正したのかが見えません。むしろ、小さな失敗や判断に悩んだ場面の方が、次の現場で生きる知識になります。

当社でも、施工管理の手順や確認事項を整理し、経験の浅い社員が現場で迷いにくい環境づくりを進めています。

ただし、マニュアルを渡すだけで人が育つわけではありません。

書かれている通りに確認するだけでなく、なぜ確認が必要なのか、確認しなかった場合に何が起きるのかまで伝える。そこまで理解して初めて、別の現場でも応用できるようになります。

教える側にとって、自分の経験を言葉にするのは簡単ではありません。それでも、人に説明しようとすると、自分自身の仕事の進め方を見直す機会にもなります。

経験を抱えるのではなく、次の世代が使える形で残す。

会社として同じ品質を守り続けるためにも、ベテランと若手の間で、もっと判断の理由を共有していきたいと思います。

それでは、また。

No.7194

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引き渡し後の「こんなこと聞いていいのかな」をなくしたい。

新しい家での暮らしが始まると、打ち合わせや工事中には気づかなかった小さな疑問が出てきます。

菊池です。

扉の動きが少し気になる。壁のお手入れ方法が分からない。設備の使い方をもう一度確認したい。庭や外構について相談したい。

生活できないほど困っているわけではないからと、連絡せずにそのままにしてしまう方もいると思います。

しかし、小さな変化の中には、早めに確認した方がよいものもあります。

例えば、建具の調整だけで解決することもあれば、住まい方や季節による変化が関係している場合もあります。原因が分からないまま心配し続けるより、一度確認した方が安心できます。

家は、完成した瞬間の状態を保ったままではありません。

家族の成長とともに使い方が変わり、設備や部材も少しずつ年数を重ねます。子ども部屋が必要になったり、収納を見直したくなったり、将来は段差や動線が気になったりすることもあるでしょう。

だからこそ、家を建てた会社との関係は、引き渡しで終わるものではないと考えています。

相陽建設には、お引き渡し後の暮らしを支える「応援団」という仕組みがあります。定期的な確認だけでなく、日常の小さな困り事を相談できる関係を続けていくためのものです。

もちろん、すべての相談が工事になるわけではありません。

お手入れの方法をお伝えするだけで解決することもありますし、しばらく様子を見てよい場合もあります。大切なのは、状態を確認したうえで判断することです。

「こんなことで連絡していいのかな」と迷う内容ほど、住まい手にとっては気になっていることです。小さな疑問を話せることが、長く安心して暮らすことにつながります。

気になることをため込まず、住まいの履歴として一つずつ共有していただければと思います。

それでは、また。

No.7193

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