壁が、熱を持っていない

お盆が明けて、現場もようやく普段どおりに動きはじめました。

菊池です。

先週の終わりに、外壁の仕上げが終わった現場へ行ってきました。その日の日中は三十四度。駐車場に停めた車のボンネットは、触れたら思わず手を引っ込めるくらいの熱さでした。ところが建物の南面に回って外壁に手を当てると、ほんのり温かい程度なんです。壁が熱を溜め込んでいない。何度立ち会っても、ここは少し不思議な感じがします。

わたしたちの家は「クワトロ断熱」という考え方で外まわりをつくっています。四つ、というのは材料の数ではなく、持たせている性能の数です。遮熱、断熱、調湿、透湿。この四つを、外側から順に重ねた材料に分担させています。

いちばん外側は中空セラミックを混ぜ込んだ塗り壁で、太陽の光を七割以上跳ね返します。熱を防ぐというより、そもそも受け取らない。その内側に外断熱のボードがあり、さらに内側にセルローズファイバー、いちばん室内側に漆喰や無垢材の壁が来ます。手のひらに熱が伝わってこなかったのは、外側で光を返しているからです。

夏の家づくりの話になると、断熱材の厚さの話に行きがちです。もちろん厚さも効きますが、真夏に効くのは、その前段で日射をどれだけ受け取らずに済ませるかのほうだと感じています。屋根と壁が焼けてしまったら、内側で何をしても後追いになります。

もうひとつが湿度です。同じ二十八度でも、湿気が抜けている部屋と、こもっている部屋では体感がまるで違います。セルローズファイバーと漆喰は、湿気の多いときに吸って、乾いたら吐き出す。だから設定温度をむやみに下げなくても、それなりに過ごせてしまう。

完成見学会でお客様が玄関に入って「あ、涼しい」とおっしゃることがありますが、あれは温度計の数字の話ではないと思っています。壁が熱くない、空気が重くない。そのふたつが揃ったときの感じ方なんだろうと。

残暑はまだ続きます。もしこの時期に見学の機会があれば、ぜひ壁に手を当ててみてください。

それでは、また。

No.7217

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