点検に伺うと、話は家のことだけでは終わらない

涼しくなって、家の外まわりをゆっくり見て回れる季節になりました。汗を拭きながらの点検も、ようやく一段落です。

菊池です。

建物100年サポートの定期点検では、見る場所がおおよそ決まっています。床下をのぞき、外壁や屋根まわりを見て、建具の動きや水まわりの様子を確かめる。点検表の項目をひとつずつ埋めていけば、家の今の状態はひととおり分かります。

ただ、実際にはそれだけで帰ることはあまりありません。点検のあと、お茶を一杯いただきながら話していると、話題は自然とご家族のことに移っていきます。お子さんが進学で家を出た、親御さんと一緒に暮らすことになった、在宅で仕事をするようになった。建てた時には想像していなかった変化が、どの家にも少しずつ起きています。

そうした話の中に、住まいのヒントが含まれていることがよくあります。空いた子ども部屋の使い道、気になり始めた階段の上り下り、仕事の電話をする場所。点検表には載っていないけれど、暮らしの中では確かに困りごとになっていることです。ここが、住まいのやっかいなところだと思っています。

わたしたちが引き渡しのあとも伺い続けるのは、家の傷みを見つけるためだけではありません。暮らしが変わるたびに、家もそれに合わせて少しずつ手を入れていく。そのお手伝いをするには、話を聞ける関係が続いていることが何より大切だと感じています。

点検の日は、家のことに限らず、気になっていることを何でも聞かせてください。

それでは、また。

No.7265

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結露は、冬になる前から予兆を見せています

朝晩がぐっと冷えるようになってきました。窓を開けると、空気の冷たさに季節の変わり目を感じます。

菊池です。

結露というと真冬の話だと思われがちですが、実はこの時期から少しずつ予兆が出ています。外の気温が下がりはじめた朝、室内との温度差が生まれたところに、うっすらと水滴がつく。まだ量が少ないので、気づかれないまま乾いてしまうことが多いだけです。

見ていただきたい場所は三つあります。一つ目はサッシの下のほう。ガラスと枠の境目に、朝だけ水滴が残っていないか。二つ目は北側の部屋。日が当たらず、人の出入りも少ない部屋は、家の中でも冷えやすく湿気が溜まりやすい場所です。三つ目は、外壁に面した家具の裏。空気が動かないので、表からは見えないところで湿っていることがあります。

壁紙の隅に黒い点がぽつぽつと出ていたら、それはカビの始まりかもしれません。冬になって結露が本格的になると、一気に広がることがあります。一度ついたカビは、拭き取っても同じ場所に戻ってきやすいものです。黒い点が小さいうちに見つけて、原因になっている湿気のほうを減らしておくことが大切だと思っています。

今からできることは、それほど難しくありません。家具を壁から少し離す、北側の部屋の扉をときどき開けて空気を通す、洗濯物の室内干しは換気扇の近くでする。建物の断熱や窓の性能に原因がある場合もありますが、まずは暮らし方で減らせる分を減らしておくと、冬の過ごしやすさが変わってきます。

冷えはじめの朝、窓辺を一度だけ見回してみてください。

それでは、また。

No.7264

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最初のご相談で、わたしたちが本当に聞きたいこと

過ごしやすい季節になって、家づくりを考え始めたという方からのご連絡が増えてきました。

菊池です。

初めてご相談にいらっしゃる方は、たいてい少し緊張されています。予算はどれくらいで考えればいいのか、土地が決まっていなくても大丈夫なのか、間取りの希望をまとめてこなければいけないのか。準備が足りないのではないかと、気にされている方が多い印象です。

正直に申し上げると、最初のご相談で間取りや金額の細かい話をすることは、あまりありません。わたしたちが本当に聞きたいのは、今の暮らしのことです。朝は何時ごろ起きて、誰がどこで身支度をしているのか。休日はどう過ごしているのか。今の家で、ちょっと困っていることは何か。

こうした話は、一見すると家づくりと関係がなさそうに思えます。ただ、図面に書かれていないことを埋められるのは、結局そこだと思っています。洗濯物をどこで畳むか、子どもがどこで宿題を広げるか。暮らしの細かな場面が分かってはじめて、そのご家族にとって使いやすいかたちが見えてきます。

ですから、希望がまとまっていなくても構いません。「なんとなく今の家が暮らしにくい」という一言からでも、十分に話は始められます。雑談のように話しているうちに、ご自身でも気づいていなかった希望が出てくることもよくあります。

家づくりではなく、暮らしづくり。最初のご相談は、その入口だと考えています。

話してみるだけ、というつもりで、気軽にお声がけください。

それでは、また。

No.7263

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働く場所の空気は、窓の数だけでは決まらない

10月1日から7日までは、全国労働衛生週間です。職場の健康や働く環境を見直す一週間とされています。

菊池です。

工場や倉庫、作業場の建築や改修のご相談を受けていると、「空気がこもる」「なんとなく息苦しい」というお悩みをよく伺います。そして多くの場合、「窓は十分にあるはずなのに」という言葉がついてきます。

空気の入れ替わりは、窓の数ではなく流れ道で決まります。入口と出口がそろって、はじめて空気は動きます。同じ壁に窓が並んでいるだけでは、開けても空気がその場で揺れるだけ、ということが起きるのです。温まった空気は上へのぼるので、低い位置から取り入れて高い位置から逃がす。この順番が組めているかどうかで、体感はずいぶん違ってきます。

天井の高い建物では、熱や湿気が上のほうに溜まります。逃げ場を失った空気は、やがて作業をする高さまで下りてくる。午後になると急に空気が重くなる職場は、このこもりが原因になっていることがあります。

改修の相談でまず伺うのは、図面より、そこで働く方の話です。どの時間帯に、どの場所がいちばんつらいのか。機械の熱や匂いがどこから出ているのか。その声を手がかりに、換気扇の位置を変える、高窓をひとつ足す、間仕切りの高さを見直す。大がかりに建て替えなくても、打てる手は意外とあります。

過ごしやすくなってきた今は、夏のつらさを思い出しながら落ち着いて話ができる、ちょうどいい時期だと思っています。

職場の空気のことで気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。

それでは、また。

No.7262

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衣替えの日に、収納の「量」より奥行きを考える

10月1日は衣替えの日。朝晩の空気が変わってきて、そろそろ長袖を出そうかと考える頃です。

菊池です。

衣替えのたびに「うちは収納が足りない」と感じる方は多いと思います。ただ、実際にお宅を拝見すると、足りないのは量ではなく、かたちが合っていないことのほうが多かったりします。なかでもよく見かけるのが、奥行きの問題です。

押し入れは、もともと布団をしまうための深さでつくられています。そこに衣類のケースを入れると、手前のケースは使えても、奥のケースはほとんど開けられません。奥にしまったものは、存在ごと忘れられていく。何年も開けていない箱が奥から出てくることも、珍しくありません。

高さも同じです。天袋や吊り戸棚の最上段は、踏み台がないと届かない。届かない場所は、使わない場所になっていきます。収納の容量を増やしても、手が届き、目に入る範囲が広がらなければ、使える量は変わらないのです。

家づくりの打ち合わせで収納を考える時、わたしたちは「何をどこで使うか」から伺うようにしています。衣類なら、着替える場所、洗濯物を畳む場所、しまう場所がどれくらい離れているか。その動きに沿って、浅くても手前から全部見渡せる棚を置く。それだけで、同じ面積でも収まり方がずいぶん変わります。

今のお住まいでも、奥のケースを手前に出して、よく使うものだけを見える位置に並べ直すだけで、使い勝手は変わってきます。

衣替えのついでに、収納の奥をひとつだけのぞいてみてください。

それでは、また。

No.7261

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9月の終わりに、家の「やり残し」をひとつだけ決める

今日で9月が終わります。会社によっては、上半期の締めくくりの日でもあり、何かと慌ただしい一日です。

菊池です。

年度の折り返しとなるこの時期になると、「そういえば、あれをやろうと思っていたのに」と思い出すことがあるのではないでしょうか。網戸の張り替え、きしむ床、換気扇の掃除、外壁の小さなひび。家のことは急ぎではないぶん、後回しになりやすいものです。

ご相談を長く受けてきて感じるのは、こうした「やり残し」は、数が増えるほど手がつけられなくなるということです。全部を並べて眺めているうちに、どれから始めればいいのか分からなくなり、結局どれにも手をつけないまま次の季節を迎えてしまう。気持ちの重さだけが、少しずつ積み上がっていきます。

そこでおすすめしたいのが、ひとつだけ決めることです。気になっていることを紙に書き出して、その中から今月やるものをひとつ選ぶ。選ぶ基準は、放っておくと傷みが広がるもの。水まわり、屋根まわり、外まわりの順で考えると、たいてい迷わずに済みます。

選んだら、カレンダーに日付を書いてしまいます。ご自身でやるにしても、どこかに頼むにしても、日付が決まると物事は動き始めます。残りは来月、またひとつ選べばいい。それくらいの速さでも、家とは十分に付き合っていけると思っています。

完璧に整った家より、気になるところに順番に手が入っている家。そのほうが、長く住みやすいのではないでしょうか。

明日から10月です。下半期の最初のひとつを、何にするか考えてみてください。

それでは、また。

No.7260

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秋の長雨のあと、ベランダの排水口を見てください

9月の終わりは秋雨前線が行ったり来たりして、すっきりしない空の日が続きます。ベランダの床も、乾く間がありません。

菊池です。

雨漏りのご相談をいただいて伺うと、原因が屋根ではなくベランダだった、ということが少なくありません。なかでも多いのが、排水口の詰まりです。落ち葉、砂ぼこり、洗濯物から落ちた糸くず。ひとつひとつは小さなものですが、排水口のまわりに少しずつ溜まっていきます。

排水口がふさがると、雨水は行き場をなくしてベランダの床に溜まります。普段は問題にならない高さまで水位が上がり、サッシの下や防水の端、壁との取り合いといった弱いところから、少しずつ中へ入り込んでいく。気づいた時には、下の部屋の天井にしみが出ている、という順番です。

見ていただきたいのは、雨が上がったあとのベランダです。水がすっと引いているか、いつまでも水たまりが残っていないか。排水口のまわりに黒っぽい泥の輪ができていたら、流れが悪くなっている合図です。

掃除は、手の届く範囲の落ち葉やごみを取り除いて、バケツ一杯の水を流してみる程度で十分です。水が素直に吸い込まれていけば、ひとまず安心です。防水面にひび割れやふくらみが見えた場合は、無理に触らずそのままにしておいてください。

これから落葉の季節に入ります。月に一度、洗濯物を取り込むついでにのぞいてみる。それくらいの習慣で、防げる雨漏りはずいぶんあると思っています。

気になる様子があれば、LINEなどで写真を一枚送っていただくだけでも構いません。

それでは、また。

No.7259

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雨の日、現場監督は何をしているか

週の始まりに、現場の話を少し書かせてください。

菊池です。

雨が降ると現場は止まる、と思われている方は多いと思います。実際、外の作業は止まります。基礎のコンクリートを打つ日も、屋根に上がる日も、外壁を張る日も、雨が降れば翌日以降に回します。無理に進めて品質を落とすくらいなら、待ったほうがいいからです。

ただ、現場監督の仕事のほうは止まりません。むしろ雨の日ほど、机に向かう時間が長くなります。やっているのは、その先の段取りの組み直しです。

職人さんの予定は、何週も先まで埋まっています。今日の作業が一日ずれると、次に入る職種もずれる。そのまた次もずれる。一日の遅れが、そのまま一日で収まることはまずありません。だから雨の音を聞きながら、誰にいつ入ってもらうかを引き直し、電話をかけていく。この組み替えが早いほど、最終的な工期への影響は小さくなります。

それから、雨の日にしかできないこともあります。雨仕舞いの確認です。図面の上では水は流れません。実際に降っている時に、どこをどう伝って落ちていくのか、溜まる場所はないか。これは晴れた日に何度見ても分からないことです。傘をさして現場に立つのは、そのためでもあります。

以前、現場の者が「天気は変えられないので、変えられるところを動かすだけです」と話していました。言い方は淡々としていましたが、この仕事の芯を突いているように思いました。

雨の日に工事中の家の前を通られることがあれば、静かに見えても中では動いていると思っていただけたらうれしいです。

それでは、また。

No.7258

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屋根に上がらなくても、分かることがあります

秋晴れの日が続くと、なんとなく家の外まわりが目につくようになります。

菊池です。

屋根の点検というと、はしごをかけて上に登る絵を思い浮かべる方が多いと思います。ただ実際には、地面に立ったままでも分かることがかなりあります。まずは玄関から少し離れて、家全体を眺めてみてください。

見上げる角度をひとつ変えるだけで、見え方は変わります。正面からだと気づかなかった瓦のずれや、棟のわずかな歪みが、斜めから見ると線の乱れとして目に入ることがあります。二階の窓から隣の屋根面を見下ろせる家であれば、そこからのほうがよく分かる場合もあります。

雨樋は、雨の日に見るのがいちばんです。水が本来落ちるべき場所から落ちているか、継ぎ目からしたたっていないか、途中で溢れていないか。溢れているようなら、落ち葉や土が詰まっているサインです。これから落葉の季節に入るので、今の時期に一度見ておくと安心です。

外壁は、手の届く高さだけで構いません。目地に入っているコーキングを指で触ってみて、ひび割れていないか、痩せて引っ込んでいないか。硬くなってぽろぽろするようなら、年数が経っている合図です。

ひとつだけお願いがあります。ご自身で屋根に上がることは、どうか避けてください。毎年、点検や掃除の最中の転落事故が起きています。高さ以上に、足元が滑ることのほうが危ないのです。

気になる箇所があれば、写真を撮って送っていただくだけでも構いません。それだけで、おおよその見当がつくことも多いです。

それでは、また。

No.7257

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給湯器が止まるのは、たいてい寒い朝です

朝晩の空気が、ようやく秋らしくなってきました。

菊池です。

毎年のことなのですが、11月から12月にかけて、「お湯が出なくなった」というご連絡が一気に増えます。しかもその多くが、前の日まで普通に使えていたのに、急に冷え込んだ朝に止まった、という形で起こります。

給湯器の寿命は、一般に10年から15年が目安と言われています。ただ、ある日いきなり動かなくなるというより、その前に小さな前触れが出ていることのほうが多いように感じます。お湯になるまでの時間が前より長い、運転中の音が大きくなった、追い焚きの効きが弱い。どれも「そういうものかな」と流してしまいがちな変化です。

やっかいなのは、寒い時期は交換のご依頼が全国的に重なることです。同じ機種を探しても在庫が薄くなり、お湯が使えない期間が数日では済まないこともあります。真冬にお風呂に入れない日が続くというのは、想像以上にこたえるものです。

ですので、この時期に一度だけ確認しておくことをおすすめしています。本体の側面に貼られたシールに製造年が書かれていますので、10年を超えているようなら、頭の片隅に置いておく。それだけで、いざという時の動き方が変わります。

建物100年サポートの点検でも設備の年数は見せていただいていますが、日々使っておられる方のほうが、音や効きの変化にはずっと早く気づかれます。

少しでも気になることがあれば、寒くなる前にご連絡ください。急ぐ話ではありませんが、後回しにしにくい話ではあります。

それでは、また。

No.7256

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