
社屋や店舗、クリニックなどをお持ちの法人の方とお話ししていると、「大規模なリニューアルまでは難しいけれど、何となく使いづらいところが増えてきた」という声をよく耳にします。
とはいえ、いきなり「改装計画を立てましょう」と言われても、なかなか具体的な要望が出てこないものです。
そこでおすすめしたいのが、「小さなモヤモヤを集める」ことからのスタートです。
まずは、社員やスタッフの皆さんに、「日常の動きの中で困っていること」を自由に書いてもらいます。
- コピー用紙のストック場所が遠くて、1日に何度も往復している
- 更衣室が手狭で、入れ替えの時間が重なると使いにくい
- 受付まわりが常に雑然として見えてしまう
- 来客スペースの音が隣の席に筒抜けになっている
こうした声は、図面だけを見ていてもなかなか気づかない“現場のリアル”です。
次に、それらのモヤモヤを「動線」「収納」「音・視線」「温熱環境」「安全性」などの項目に分類してみます。
すると、「同じ種類の困りごと」がいくつかの場所で起きていることに気づくことがあります。
例えば、「収納」に関するモヤモヤが多ければ、レイアウトの変更や造作収納の追加が有効かもしれませんし、「音・視線」のモヤモヤが多ければ、パーティションや吸音材で解決できる余地がありそうです。
すぐに工事をしない場合でも、「困りごとマップ」をつくっておくと、その後の改善の優先順位が見えやすくなります。
また、社員・スタッフの声をきちんと拾うことで、「自分たちの職場は自分たちで良くしていける」という前向きな空気が生まれることも少なくありません。
オフィスや店舗の改装は、“一気にやる大事業”のイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、「毎日の小さな不便」を丁寧にすくい上げ、それをひとつずつ解消していくプロセスの延長線上にあります。
まずは、今日の業務の終わりに、「ちょっとしたモヤモヤ」を付箋1枚分だけ書き出してみる。
そこから、建物と働く環境を少しずつ良くしていく一歩が始まるのだと思います。
それでは、また。
No.6992
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