
「家を建てたいけれど、今はやめておいたほうがいいのかな?」
建築費の高騰や物価上昇のニュースを見て、そんな風に迷っている方も多いのではないでしょうか。
某建設業界紙の記事で住宅関連の最新調査では、建築費はここ10年で最高水準に達している一方で、
今後2年以内に注文住宅を検討している人のうち、約7割が「今が建て時だと思う」と回答しています。
なぜ、こんなギャップが生まれているのでしょうか。
そして、これから家づくりを始める私たちは、何をどう考えればよいのでしょうか。
今日は、公開されているデータをヒントにしながら、「後悔しない家づくりの考え方」を整理してみたいと思います。
1. 建築費は上がっている。それでも「今が建て時」と感じる理由
調査によると、土地代を除いた建築費の全国平均はおよそ3,500万円前後。
2010年代半ばから比べると、約25%ほど上昇しており、過去10年で最高水準にあります。
それでも、今後2年以内に家づくりを検討している人の約7割が、
- 「今後、建築費がさらに上がると思うから」
- 「今後、金利が上がると思うから」
といった理由で「今が建て時」と感じている、という結果が出ています。
つまり現在は、
「今も十分高いが、あとで建てればもっと高くなるかもしれない」
という比較の結果として、今を“まだマシなタイミング”と捉えているという状況だと言えます。
2. 広さより「質」と「使い勝手」へ ─ 住まいのコンパクト化
建築費が上がる中で、実際の家づくりにはどんな変化が起きているのでしょうか。
住宅取得者のデータを見ると、
- 敷地面積は、ここ数年で平均すると10坪以上小さくなっている
- 延べ床面積(建物の広さ)も、40坪台前半へとコンパクト化が進んでいる
といった傾向が見られます。
一方で、「家づくりで重視したポイント」の上位には、
- 間取り・プラン
- 断熱性・気密性
- 耐震性・耐久性
などが挙がっており、逆に予算の関係であきらめたものとしては、
- 蓄電池の設置
- 延べ床面積(家の広さ)の確保
などが目立っています。
つまり、多くのご家族は、
“大きな家”よりも、「日々の暮らしやすさ」と「性能(快適さ・安心感)」を優先する
という方向に舵を切っている、ということです。
単純に「広くて立派な家」を目指すのではなく、コンパクトでも動線がよく、冷暖房効率が高く、家事や子育てがしやすい家を求める流れが、データからもはっきり見えてきます。
3. 平屋・高性能住宅・省エネ ─ 新しい「標準」の姿
もうひとつ、最近の調査で象徴的なのが 平屋住宅の増加 です。
- 全国の戸建てのうち、平屋が占める割合は約4分の1
- 地域によっては、半分以上が平屋というエリアもある
- 特に50代以上では、平屋を選ぶ人の割合が高い
その理由としては、
- 老後も階段の上り下りがなく安心して暮らせる
- 家事動線がシンプルになり、毎日の負担が減る
- 家族の気配を感じやすく、コミュニケーションが取りやすい
といった“暮らしやすさ・将来の安心”が挙げられています。
加えて、
- 高断熱・高気密の「省エネ住宅」
- 太陽光発電や高効率設備を組み合わせた「ZEH(ゼロエネルギー住宅)」
- CO₂排出削減を意識した「脱炭素・GX志向の住宅」
といったキーワードも、若い世代を中心に関心が高まっています。
「コンパクトな平屋」+「高断熱・高気密」+「省エネ・創エネ」
こうした組み合わせが、これからのスタンダードな一戸建ての姿になっていく可能性は十分にあります。
4. これから家づくりを始める方への3つのアドバイス
ここからは、これから家づくりを始める方に向けて、具体的な考え方を3つに絞ってお伝えします。
4-1. 「いつ建てるか」より、「何年住むか」で考える
建築費や金利は、これからも上下を繰り返しながら変動していきます。
その動きを完璧に読み切るのは、プロでもほぼ不可能です。
だからこそ、
- 毎月の返済額
- 光熱費・メンテナンス費などを含めた“生涯コスト”
- その家に何年住むのか
という「長い時間軸」で考えることが大切です。
例えば、
- 断熱性能を高める → 冷暖房費が抑えられ、年単位で見ると差額が効いてくる
- メンテナンス性の高い外壁・屋根にする → 将来の塗り替えや修繕の回数・費用を抑えられる
といった要素は、長く住めば住むほど“効いてくる投資”になります。
「今いくらかかるか」だけでなく、「10年・20年トータルでいくらかかるか」という視点を持つことが、
後悔しない選択につながります。
4-2. 「全部盛り」をやめて、優先順位を決める
予算には必ず上限があります。
大事なのは、「どこまでやるか」ではなく、「どこまでを先にやらないか」を決めることです。
特に、次のような部分は 優先度が高いところ です。
- 将来の暮らしやすさに直結する性能
(断熱・気密・耐震・換気など) - 毎日のストレスを左右する間取り
(家事動線・収納計画・子どもの動線など) - 後から変えづらい構造部分
(柱・梁の構成、窓の位置と大きさ、外皮性能など)
一方で、
- 外構の一部(庭づくりや植栽など)
- 造作家具や造作収納の一部
- 趣味スペースの仕上げグレード
といった部分は、あとから手を加えたり、DIYで育てていくこともできます。
「今、絶対にやること」と「将来、余裕ができたら整えること」
を分けて考えると、予算内でも満足度の高い家づくりがしやすくなります。
4-3. 「情報収集」から「プロとの対話」へシフトする
インターネットやSNSには、家づくりの情報が溢れています。
間取りの事例やインテリアの写真、実際に建てた人の感想など、参考になる情報もたくさんあります。
ただし、その多くは「その人の家族構成・収入・価値観」に最適化された“個別のケース”です。
自分たちの家づくりに当てはめるには、
- 自分たちの年収・ライフプランで現実的な予算はいくらか
- その予算で性能・間取り・デザインのバランスをどう取るか
- 平屋か二階建てか、コンパクトにするならどこを削るのがよいか
といったことを、自分たちの条件に合わせて整理し直す必要があります。
ここは、信頼できるプロと一緒に“自分たちの答え”を作っていく部分です。
「いつ建てるのが正解か?」ではなく、「自分たちにとって、どんな家なら建ててよかったと思えるか?」
この問いを一緒に整理してくれるパートナーに早めに相談することが、結果的に「建て時」の判断をクリアにしてくれます。
5. まとめ ─ 「今の数字」に振り回されず、「自分たちの暮らし」から逆算を
あらためて、ポイントを整理すると次の通りです。
- 建築費はこの10年で大きく上がり、今も高い水準が続いている
- それでも約7割の人が「今が建て時」と感じているのは、「これからもっと上がるかもしれない」という不安が背景にある
- 多くの人が、
- 広さを少し抑えながら
- 性能や間取り、暮らしやすさに投資し
- 平屋や高性能、省エネ住宅を選ぶ
という方向に舵を切っている
これから家づくりを始める方にお伝えしたいのは、「今の金額や数字だけで、建てる/建てないを決めないでください」ということです。
- ご家族の将来像
- どんな暮らし方をしたいか
- 何を大切にしてお金を使いたいか
こうした“自分たちの物差し”をはっきりさせることで、初めて「建てるべきタイミング」と「選ぶべき家のかたち」が見えてきます。
もし、
- 自分たちの適正予算がよくわからない
- コンパクトでも暮らしやすい間取りを知りたい
- 平屋や高性能住宅、省エネ住宅に興味はあるが何から考えればいいか不安
といったお悩みがあれば、情報収集の段階から、どうぞ気軽に弊社へご相談ください。
“今が建て時かどうか”を一緒に整理するところから、家づくりは、すでに始まっていますので。
それでは、また。
No.6953
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