「安すぎる家」は危険信号?建設業法の改正で変わる「家づくりの契約」のポイント

「できるだけ安く建てたい」という気持ちは当然ですが、国交省では「安すぎる契約」を規制し、「適正な価格」で家を建てるための法規制の改定が12月より。

今回は、業界紙の記事から、国土交通省が進めている「建設業法」や関連法令の改正が、私たちの家づくりにどのような影響をもたらすのかを。

1. なぜ法改正が行われるの?〜「安値競争」が招くリスク〜

建設業界では、これまで価格競争が激化しすぎた結果、「本来必要な経費」を削って無理な低価格で契約を結ぶ事例が見られると。

これにより、現場で働く職人さんへの賃金が不当に抑えられたり、安全対策や品質管理がおろそかになったりといった問題が起きていたと。

今回の法改正は、「適正な原価」を確保することで、建設業者に健全な経営を促し、結果として「質の高い施工」と「そこで働く人の環境」を守ることを目的としている。

家を建てる私たち施主にとっても、安心して任せられる環境が整うことにつながります。

2. チェックすべき「契約の3つのポイント」

今回の改正で特に重要視されているのが、「請負代金(契約金額)」に必ず含めなければならない「適正な経費」の明確化。

具体的には、以下の3つの経費を契約金額に組み込むことが義務付けられる。

① 法定福利費

建設工事に携わる職人さんたちの健康保険料や厚生年金保険料など、法律で定められた保険にかかる費用です。これらを請負代金に含めることで、将来にわたって職人さんが安心して働ける環境を整えます。

② 安全衛生経費

現場の安全を確保するための費用です。例えば、ヘルメットや安全帯といった装備品、熱中症対策、足場の安全対策などにかかる経費が含まれます。これが削られると、事故のリスクが高まります。

③ 建設業退職金共済契約の掛金

建設業界で働く人々の退職金制度のための費用です。

【施主への影響】

これらの費用が契約書に明確に反映されることで、一見して「以前より価格が上がった」と感じるかもしれません。

しかし、これは本来払うべき「適正なコスト」であると。

これらの費用をしっかり計上している業者こそが、安心して任せられる業者だと判断できるのではと。

3. トラブルを未然に防ぐ「記録の保存義務」

もう一つ、施主にとって大きなメリットとなる改正としては、建設業者が以下の図書(書類)を保存することが義務付けられたことです。

  1. 見積書(内訳が分かる見積書)
  2. 請負契約締結前に行った注文者(施主)との「打ち合わせ記録」

特に「打ち合わせ記録」については、契約の当事者間で相互に交付されたものに限るとされています。

【施主への影響】

  • 透明性の向上: 見積もりの内訳がより明確になり、何にどれだけの費用がかかっているかを知ることができる。
  • 「言った言わない」を防ぐ: 契約前の詳細な仕様や設計変更に関する「打ち合わせ記録」が正式に保存されることで、後々のトラブルや誤解を未然に防ぐための確かな証拠となる。

まとめ:これから家づくりをする方がすべきこと

今回の法改正は、家づくりの「適正価格」と「透明性」を確保するための大きな一歩です。

家づくりを成功させるために、これから皆様がハウスメーカーや工務店を選ぶ際に心がけてほしいことは以下の3点。

  1. 「適正価格」を理解する: 法定福利費など、削ってはいけないコストが契約に反映されているかを確認し、「安さ」だけを追求しないようにしましょう。
  2. 内訳を詳しく聞く: 見積もりに疑問点があれば、「法定福利費や安全衛生費は含まれていますか?」と具体的に尋ね、説明を求めましょう。
  3. 「打合せ記録」を必ず確認・保管する: 契約前の打ち合わせの度に、記録(議事録など)を作成してもらい、その内容が正確であるかを確認し、ご自身も大切に保管しましょう。

適正な価格で、質の高い家を建ててくれるパートナーを見つけることが、後悔しない家づくりへの一番の近道である事は事実でもありますが、決して簡単な事でもなく。

私たちが出来る事は、適切な情報発信と、何時でもご相談頂ける場をご用意する事と理解していますので、お気軽にお声掛け下さいませ。

それでは、また。

No.6945

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