先日の国立新美術館での「安藤忠雄展 挑戦」の続きです。
大阪市住吉に建つ「住吉の長屋 (1976)」は友人宅の近くにあることもあり、外観だけ拝見したことがあります。
安藤氏の名前を世界に広めた初期の代表作です。
こちらは元々は三軒長屋だったところを3等分にしたちょうど真ん中の一軒に生活動線を断ち切る形で中庭(と言っても屋根のない完全に屋外)を配置している住宅です。
なので2階寝室からトイレに行くためには、手摺の無い階段を雨の日には傘をさして下りなければならないという大変不便を強いられた住宅です。誰しもがここに住む施主は住みにくいだろうと思っているはず‥それまではそんな風に思っていました。
しかし作品紹介の前に置かれた施主の言葉には、
季節を感じ気分が上がる時もあれば、過酷な状況に諦めることもあったり‥(だいぶん省略)
この家に住んで 生きることに飽きることがありませんでした。と感謝が綴られていました。
そして、これからもまだまだ住み続けると書かれていました。
建物は建てたら終りではなく、そこからがスタートだと安藤氏は言います。
”この家に住んで生きることに飽きることがなかった”
・・・これは建築家への最大の褒め言葉ではないかと思うのです。