住宅を建てて住み始めてから、「ここはこうすればよかった」「こんなはずではなかった」と思うことは少なくありません。この「後悔」で意外に多いのが窓に関する問題です。
窓は採光や家具の位置にも大きく影響するものですが、プランニングの段階では、間取りや動線、内装などに気を取られ、後回しになってしまいがちです。
また、平面の間取り図では窓の高さと目線の関係がわかりにくく、イメージがつきにくいということも影響しているでしょう。住宅展示場のモデルルームは、窓についてのあれこれを確認するための絶好の場所です。窓の形、大きさ、配置など、さまざまな点に注意して見学してみましょう。
窓は「引き違い窓」だけではない
いまどきの窓は、左右から開くことのできる「引き違い窓」だけではありません。使われる場所や窓の大きさによって、さまざまな種類の中から好みの形を選ぶことができます。代表的なものについては以下のとおりです。
すべり出し窓 :ドアのように開くことができる「縦すべり出し窓」と、窓を上へ跳ね上げるタイプの「横すべり出し窓」があります。最近では外からの掃除もしやすいようになっています。
上げ下げ窓: 上下に窓が移動します。
FIX窓 :「はめごろし」とも呼ばれるタイプの、ガラスをはめ込んだだけの窓です。
ガラスルーバー窓: 細いスリット状のガラス板が並んでおり、横のレバーを操作することによりガラス板が斜めに持ち上がります。浴室やトイレなど、換気をよくしたい場所に使いやすい反面、防犯性、気密性が劣ります。
どの場所にどの窓を使うかは、それぞれのメリットとデメリットを考慮しながら決めましょう。例えば「FIX窓」は、とりつける場所によっては外からのガラス掃除がしにくいといったデメリットがあります。
窓の配置や大きさは、よく考えて決めましょう
家を建てた人にとって、窓の配置や大きさで「失敗した」と感じる点はどのようなところでしょうか?
多いのが、プライバシーに関する後悔です。「とにかく明るい部屋を」と窓を大きくしたら、リビングが外から丸見えになってしまった、脱衣場の窓が隣家の窓に面していた、など家の外側からの目線に対する配慮が足りなかったと感じる例です。
このほかにも、「大きい窓をたくさんつけたら、家具の配置に困った」、「テレビとの位置関係を考えていなかったため、光が反射してテレビが見えにくくなってしまった」、「カーテン代がかなりかかった」、「窓が多いと防犯対策にも神経を使う」、「ペアガラスなどの結露対策を考えていなかったため、冬場が大変だった」などといった後悔があるようです。
配置の工夫しだいで部屋の印象は大きく変わる
たとえば、横長の細長い窓を部屋の天井近くにつけた場合、プライバシーを保ったまま明るい光が部屋の奥まで届きます。空が額縁のようにきれいに見えるといった効果もあります。また、同じ形の窓を床の近くに配置すると、明るさは抑え目で落ち着いた印象の部屋になります。窓のそばに小さな坪庭を作って、それを眺めるといった楽しみ方も可能です。
窓の配置は部屋の印象を変えるだけではなく、外観デザインにも大きく影響します。住宅展示場に行った際には、まずモデルハウスを外から眺めて窓の位置を確認し、気になる窓があれば、中に入って部屋の印象がどのようになるかを見てみましょう。
たくさんの窓を見ることで、「自分ならこうしたい」というビジョンが、よりはっきりしてくることでしょう。
これから何十年も住むことになる家の「住環境」によって「家族の健康」も大きく影響を受けることは想像に難くありません。
しかしながら、これまで健康と住宅を関連付けた「実証調査」はありませんでした。
このたび、慶応義塾大学並びに首都大学東京の調査と、我々で行った独自の調査(調査期間:2014年から2015年)で実証された住宅を体感・観覧できます。一度ぜひお越しください。