先日の続きです。
今回はホテルに宿泊するのが目的の旅。とはいえ観光もしてきました。
宮家の別荘として1615年に創建された桂離宮。(事前に宮内庁のHPで予約できます)
お客様をもてなすための庭とも言えるおもてなしがあちらこちらに。
まずは表門へと向かう道。
一見、なんの変哲もない砂利道ですが、奥に行くほど(約1m)道幅が狭くなっており敷地を広く見せる演出がされている。
またお客様の足元が悪くならないように道の中央が高くなり、水はけよく計画されている。
ちなみに排水口で雰囲気を壊さないようにと、こんな工夫が。
こちらは外腰掛。茶室の待合い腰掛として使用されるスペース。
茶室までの庭園が全部見えてしまわないように(楽しみを取っておくために)、正面のお庭であえて閉鎖的にしている。
茶室に向かう途中の景色。
小石で海の浜をイメージ。先端の灯篭は岬の灯台に、その先の橋は天の橋立に見立てている。
色づいた紅葉越しの茶室。
茶室松琴亭。数寄屋造り風の室内。
市松模様の藍は藍染めで染められているとのこと。
苑内で最も高い位置にある茶屋風の賞花亭。
お客様が座る場所からが一番よい眺めになるよう配慮されている。
園林道(持仏堂)。
この建物には雨樋がないので、したたり落ちる雨で土が凹まないように雨が落ちる場所に小石が敷き詰められている。
笑意軒(茶室)。
全ての場所に船で行ける用に船着き場があり、船着きはには岬をイメージした灯篭が配置。
灯篭は場所によりさまざまな形をしている。
月見台。
月を鑑賞するために作られた場所。
中秋の名月に合わせて高さや位置を設計されている。この正面の森から月が浮かび上がり、手前の池に美しく映しだされるとのこと。
ひんやりした空気の中、ほんのり色づき紅葉し始めた落葉樹を見ながら、満月の夜を想像するのもまた粋なもの。
月波楼(古書院)。
高い位置に立つ茶亭で月を見るのによい位置にあり、よけいなものが視線に入らないようになっている。
月波楼(室内)から下の方、茂みのように見えるのは実は生垣。
下から見るとかなり高い生垣だけど、室内からの景色を邪魔しないように計画されている。
ぐるりと1時間かけて歩いた庭園(別荘)。どこをどうとってもすばらしい景色。
前方に見える景色も、歩いてきた道を振り返ってみる後方の景色も、飽きがこないようどちらから見ても絵になるように考えられている。
“今日という景色は二度と見れないのだから”
案内して頂いた学芸員の方の言葉に、全ての感覚を研ぎ澄ます。
花の匂い、雨のあとの水の匂い、風のそよぎ、水の音、鳥のさえずり。ただ見るだけでなく五感を使って感じることの大切さを教えてくれる桂離宮。
冬も春も夏もまた来たいところと思う場所でした。
★補足
今なら海外からの観光客がいないのと、コロナ対策により人数制限されているため、少人数でゆっくり見学できます。