2023年1月27日
今回は近年の急速なバリアフリー化もあり、
要望が増加している住宅の手すり設置について紹介させていただきたいと思います。
まず手すり設置の目的ですが、主に住宅内での転倒・転落防止があげられます。
移動の際に掴まるものがないとバランスを取りづらく、転倒・転落しやすくなります。
大怪我につながる可能性もあり、特に階段から転落すると大事故につながってしまうので
手すりをつけることによる安全対策が重要と言えます。
次に手すりを設置することで、移動がスムーズになります。
補助を得なくても自分で移動でき、他の人の手を借りずに1人でも動きやすくなります。
その他、手すりは歩く時だけでなく立ち座りする際にも役立ちます。
年齢を重ねるとともに足腰の力が弱くなり、手すりで身体を支える必要があります。
特に玄関や浴室などに手すりを設置すると
靴を履く際や入浴する際などに身体のバランスを取りやすくなります。
段差や跨ぎなどで転倒するなどの事故につながる可能性があるので
安全性を高めるために手すりを設置することが多いです。
続きまして、場所ごとの手摺の具体的な設置方法について記載させていただきます。
まずはほぼ必ずと言ってもいいほど段差がある玄関から。
上がり框を越えるための手すりの設置方法は3パターンあります。
①縦手すりを設置する
理想は上がりがまち段差の真上に縦手すりを設置します。
普段の生活でも靴の脱ぎ履きがありますから、ここは設置しておくと便利な場所です。
ただ握力が弱く、縦手すりを握るのが難しい場合や
連続手摺で階段状になる場合には次の方法にします。
②勾配に合わせて設置する
手すりを片手で使う場合、階段と同じように勾配に合わせて設置します。
踏み台などで段を緩くする場合は階段を上るのと同じ具合で調整します。
③水平に2本設置する
両手で手すりを握る場合、壁に向かって横歩きします。
家に入る向きでは、横歩きしながら一歩ずつ段差を越え、
次の手すりに握り替えてまた一歩ずつ次の段差を越えるという感じです。
次に廊下と階段についてですが、これらは基本的に同じように考えていきます。
設置の高さも玄関の横づけと同じく750~800mmです。
廊下では床面からの高さですが、階段の場合は段鼻からの高さになります。
手すりの種類も同じハンドレールです。
ここまで設置した手すりは、床面から750~800mmの位置でしたが、
これは大腿骨大転子の高さの目安でつえの高さも同じです。
原則はこの高さですが、手すりを握らずに前腕を乗せて移動する場合には、
肘を直角に曲げた高さより少し低い位置にします。
この場合の手すりは、断面の上部が平らになった平型のタイプが向いています。
トイレは掴まり立ちや肘立ちなど、使いやすいL型手すりがオススメです。
展開図で見た向きの位置が重要となりますので図を参考に平面図上での位置も押えます。
便器の中心から手すりの芯まで350mmが使いやすい位置の目安です。
今回は比較的要望の多い「玄関周り」「トイレ」の手すり設置について
述べさせていただきましたが、
最初に記しましたように「浴室」も手すり設置が有効なエリアになります。
近年はユニットタイプの浴室が主流ですので
各メーカーも様々な手摺オプションを用意しており、
安全面での対応力は優れていると思います。
ご検討の際にはショールームなどでご確認頂くことをお勧めいたします。
最後になりますが、手すりの高さは一様に同じ高さではなく
一人ひとりの体の特徴や必要な動きに合わせて調整する必要がありますし、
動きにあった高さも重要です。
立った姿勢と歩く姿勢が違う場合、立った姿勢の高さに合わせると
いざ歩くのに手すりを使用した時に使いにくいといった状況になります。
そのためどのくらいの高さで支えがあればいいのかを、
実際に試して調整する必要があります。
また手すりには縦型や横型、L字型のようにいろいろな形があります。
太さや素材などにも種類があり、それぞれに特徴がありますので
使う場所・目的・誰が主に使用するかなどを考慮して設置することも大切です。
今すぐ必要ではないけれど、将来的には必要になるかもしれないということで
手すり用の下地を入れておくことも有効です。
玄関周りや廊下、トイレなど「ちょっと今は…」という場所に
下地を入れておくだけでも後々役に立つことがありますのでお勧めです。
適材適所な手摺設置で安全・安心な生活をお送りいただけますように…