災害に強い家づくりを考える|建築時の注意点と建ててからの備えやメンテナンス

地震や台風、大雨などの自然災害による被害が増える昨今。
日本での家づくりを考える上では、災害といかに付き合っていくか?は、マイホームを建てる時に不可欠な検討すべき視点です。

これから家を建てる方にとって「防災」を意識し災害によるリスクを考慮した上で家づくりを考えていくことは、家族で考えるテーマになることでしょう。

そこで、住宅会社の目線からみる「災害に強い家づくり」とはどのような家なのか?
家づくりのプロの目線から考えていきたいと思います。

災害に強い家とは?

マイホームを建てるなら災害へのリスクも考慮して建てておきたいところ。
ですが、実際に検討する時には何に気をつければ良いのかいざ、考えてみないとわからないことも多いことでしょう。

防災はどこまで行っても「万が一への備え」です。ややもすれば過剰な備えだと考えられることもあります。
しかし、災害に合う確率を0にすることは出来ませんし、どれだけ万全な対策をとっていても被災してしまうことはあり得ます。

万が一、被災した場合に備えて、家のことを考えるかは、実は防災の重要な視点なのです。

地震への備えは基礎の構造が重要

地震に強い家にするためには、基礎の構造について考える必要があります。

 

近年、地震による大きな被害があった、東日本大震災・阪神淡路大震災・新潟中越地震による、倒壊・半壊した建物と、そうでない建物を比べると、基礎の構造に決定的な違いがあったことが判明しています。

平成7年の阪神・淡路大震災においては、周辺の建物が倒壊や焼失するなか、ガソリンスタンドが街区の延焼を食い止めるといった現象が数多く見られ、ガソリンスタンドの安全性の高さが注目されました。

また、平成16年に発生した新潟県中越地震の際にも、ガソリンスタンドの被害は軽微に留まり、地域住民のために石油製品の供給に努める事が出来ました。

 

このようなガソリンスタンドの持つ設備、機能が災害時にも最大活用できるよう、各県石油組合では、各自治体と協力協定を結ぶところが増えています。

 

では、ガソリンスタンドの持つ基礎構造とは、どのような性能なのか?
以下のような仕様になっています。

主筋と言われる鉄筋の口径は【D13】という大きさのものを、コンクリート内に上下ダブルで配筋し、そのピッチは【@250】、つまり250mm間隔で配筋されています。

一般的な住宅のベタ基礎仕様(大手ハウスメーカー等)は、主に【D10】という口径の大きさの鉄筋を、コンクリート内に1列だけ配筋し、そのピッチは300mm間隔の構造が一般的です。

主筋の太さ
(鉄筋の量)
ベースの厚み
(コンクリートの量)
配筋間隔
(鉄筋の本数)
一般的なベタ基礎
(ハウスメーカー等)
10mm
異型鉄筋
150mm厚
(布基礎の防湿 コンクリートは50mm)
300mm間隔
ガソリンスタンドのベタ基礎 13mm×13mm
異型鉄筋
上下ダブル
250mm厚 250mm間隔×250mm間隔
上下ダブル

実際に一般的なベタ基礎の配筋と、ガソリンスタンドの仕様の基礎配筋を写真で見比べて頂いても、耐震に関しての安心度合いという視点で見て頂いても違いは明らかだと思います。

地震に強い家にするためには、家を支える土台となる基礎の構造が非常に大切です。
基礎構造は、各会社の考え方によって様々ですが、私たちが家づくりで取り入れているのが大きな地震でも被害が少なかったガソリンスタンドの基礎と同じ構造で家を建てることです。

 

建築時に構造計算を行い状況を把握する

「地震」・台風などの「風」・「積雪」などの自然災害に対して構造上どのくらい強度があるのか計算する「構造計算」という方法があります。

大規模建築になると法律で義務化されていますが、一般住宅で最も多い木造2階建住宅には実施の義務はありません。
しかし、これから建てる家がどのくらいの強度を持っているものなのか、把握しておくことはリスクを管理する上でも重要になる指標の一つです。
反対に、災害に被災するリスクが少ない場所に住んでいるにもかかわらず、必要以上の構造にした場合、思わぬ出費につながる可能性もあります。

木造住宅で構造計算を実施しているかどうかは、災害に対する住宅会社各社の考え方にもよりますので、必要な場合、計算を行ってもらえるのかどうかは事前に確認しておいた方が良いでしょう。

 

建物に使われる構造材は耐震性を左右する

耐震性について考えるときに良く話を聞くのが「制震ダンパー」などの補強材です。もちろん、地震による被害を抑えるためいは、補強材も重要な要素の一つとなります。

 

しかし、実はあまり重要視されることなく、かつ、重要なのが「構造材」です。
構造材とは、柱や梁など家の構造を創る材料のことを言います。
木造建築の場合、構造材には基本的に木材が使われます。
このときに使う材料に何が使われているかによって、特に年月が経つほど家の強度が左右されます。

 

日本は高温多湿の国で、湿気がたまりやすく、木材にとっては腐食しやすい環境であると言えます。
住宅の構造材も例外ではなく、長年暮らしていると柱や梁など目に見えない所に湿気がたまり、腐食する可能性があります。

木材が腐食すると、非常に柔らかくなり、カビが生えたり、白アリの被害にあいやすくなってしまいます。
最悪の場合、地面に近い所の土台が白アリに食い荒らされスカスカになっていることも。。そのような状況で、万が一大きな地震がきたときには、建築時に想定できなかった被害が発生する可能性が出てきます。

 

一方で、同じ環境にありながら、1000年以上被害を受けることなく残り続けている木造建築物もあります。奈良や京都の寺社仏閣です。長年、残り続けている寺社仏閣の多くは、構造材に桧(ヒノキ)を使っています。
桧は、木の中でも硬い材料で湿気に強く、耐水性も高い材料です。
伐採後、200年間くらいまで強くなり、その後、1000年かけてゆるやかに弱くなると言われており、構造材にするにはうってつけの材料です。

 

一方で、硬いことは加工がしにくいことにも繋がります。
そのため、構造材に桧を使う場合は若干予算がかさむこともあることは覚えておくと良いでしょう。

 

土地を選ぶ際に「災害リスク」の低い場所を選ぶことも重要。

災害リスクについて調べる方法

そもそも、災害に強い家を建てるためには、家が立つ土台が重要です。
建てようと考えている土地は地盤の強い土地なのか?事前に見極めることによってリスクを軽減することができます。

そこで、一度ご覧いただきたいのが、国土交通省の「重ねるハザードマップ」です様々な土地の特徴を確認することができます。

 

この他にも行政が発行している水害ハザードマップや震災ハザードマップなどもあります。
・近くにある河川が氾濫した場合、どのくらい浸水するのか?
・大きな活断層や土砂崩れの発生リスクが高い土地はあるのか?
など、災害に対するリスクを確認することが可能です。

 

土地探しから始めるという方は、建築をお願いしようと思っている住宅会社に相談すれば、その土地の情報を提供してくれることが多いので、まずは相談してみても良いかもしれません。

まとめ

大きな災害があれば建築基準法などの法律も常に見直されています。
しかし、法律に記載しているのは、あくまで最低限の基準です。
法律の基準をクリアしていることは当たり前の条件として考え、クリアしているからといって決して安心しないようにしてください。

災害に強い家を考えるときには、建物の構造や基礎、土地の選び方などが非常に重要になってきます。
地震や台風も発生する可能性は高いと言われている近年、何十年と続く暮らしのことを考えて、家づくりを始めることが大切だと考えています。