「男女共同参画」が叫ばれる昨今、幼い子どもがいても夫婦で共働きする家庭は珍しくありません。共働きの家庭で特に大変なのが育児をどうするかという問題です。生活全般に関わる問題なので、新居を建てるときにも当然考えておかなくてはなりません。
「二世帯住宅にして、親に子どもの面倒を見てもらえば安心して働けるのになぁ」
と考える人も少なくないでしょう。しかし、最初から「子どもの世話をさせる気満々」では、「二世帯住宅に住みたい」と親に提案しても警戒されてしまう可能性も。また、気持ちのうえでも、「親を頼ってばかりはいられない」と引け目を感じてしまう人もいるでしょう。
そこで今回は、共働きの家庭が二世帯住宅を検討する際の「子育ての注意点」について考えてみます。
孫は可愛くても、「子世帯に頼られる」のは負担
『くらしノベーション研究所』が行なった調査によると、二世帯住宅では、同じ家に住んでいることもあり、別々に暮らしている場合よりも親世帯が子育てをサポートしてくれる頻度が高いことが明らかになっています。
孫の世話を頼まれて「嫌だ」というおじいちゃんおばあちゃんはあまりいません。しかし、だからといってなんでも頼っていると、ある日突然世話を断られるようになってしまうことも考えられます。
そのような場合、親世帯としては「孫の世話をすること」が嫌なのではありません。「子世帯に頼られること」が負担になっているのです。
「自立しよう」という姿勢を親にアピールしよう
実は、もうひとつ重要な事実があります。それは「共働き世帯の92%が保育園を利用している」ということです。
つまり、住まいの形にかかわらず、共働き世帯の多くは「子育ては自力で」と考えていることがわかります。「子どもはきちんと保育園にあずけ、基本的に自分たちで育てる」 そうした姿勢を見せれば、親世帯にも「大変そうだから手伝ってあげよう」という気持ちが芽生えてくるはず。「自立しよう」とする気持ちを忘れないことが、親・子世帯が協力して子育てを行う秘訣です。
子育てを想定したゾーニングを考えよう
二世帯で進める子育ての心構えがわかったところで、具体的な二世帯住宅の形を考えてみましょう。子育てを二世帯で協力して行う以上、それを前提としたゾーニング(間取り)を考えなくてはなりません。
たとえば、子ども部屋の位置です。通常、子ども部屋はあまりアクセス性を考えられていないケースが少なくありません。
「廊下から直接子ども部屋に行けない」 「リビングやキッチンを通らないと出入りできない」
といった構造になっていることが多いのです。それでは、親が子ども部屋に行くときに毎回リビングやキッチンを通らなくてはならなくなり、子世帯のプライバシーが確保できません。こうした事態を防ぐには、あらかじめ「廊下から直接アクセスできる子ども部屋」を計画しておきましょう。
また、両親共働きということは、平日は親子揃って食卓を囲むことは難しい、ということも多々あることと思います。「子世帯が平日、簡単に食事を済ませられる洋風のダイニング」と、「親・子・孫、三世帯揃ってゆったりと食事ができる広めの和風ダイニング」を用意しておき、週末には親・子・孫が触れ合える機会を作るのもいいでしょう。
二世帯住宅のゾーニングは、アイデア次第で可能性は無限大です。理想の住まいを実現するため、様々なアイデアを検討してみてはいかがでしょうか。