親が所有する土地に二世帯住宅を建てる場合、建物は誰の名義にするべき?

親が持つ土地に二世帯住宅を建てる場合、考えなければならないのは「建物を誰の名義にするか」という問題です。融資を受けやすい、固定資産税の減額を2戸分適用できる、という理由で、ハウスメーカーから区分登記を勧められた人もいるでしょう。

しかし、将来発生する相続税のことを考えると、必ずしも区分登記がお得とは言えません。

 

なぜ区分登記しないほうがいいの?

「居住用宅地に対する小規模宅地等の特例」というものをご存知でしょうか? 「居住用宅地に対する小規模宅地等の特例」とは相続税に対する軽減措置のことで、相続税評価額が80%減額されるというものです。この特例を受けるためには細かい条件がありますが、前提となるのは相続する人の配偶者または同居親族のみ適用を受けることができるという点です。

平成26年の相続税の改正で、この居住用宅地の限度面積が330㎡まで引き上げられ、完全分離型の二世帯住宅についてもこの特例が認められるようになりました。しかし、区分登記を行なっている場合、問題があります。この特例を受けられるのは親世帯の敷地部分のみとなってしまうのです。

 

共有名義や親世帯の単独名義にしておくべき

区分登記をしていた場合に相続税の計算がどのようになるか、例を挙げてみましょう。

土地・・・父親名義(200㎡)、建物・・・二世帯住宅。
父親名義で1世帯(A部分)、長男名義で1世帯(B部分)の区分登記

<父親が亡くなって相続税が発生する場合(母親と長男が1/2ずつ相続)>
母親が支払う相続税(評価額):A部分の1/2(50㎡)×0.2(特例)+B部分の1/2(50㎡)
長男が支払う相続税(評価額):A部分の1/2(50㎡)+B部分の1/2(50㎡)

区分登記の場合、たとえ同じ建物に住んでいても、長男は特例の定める「同居する親族」とは認められません。

 

同じ二世帯住宅でも、建物が父親名義の場合はどうなるでしょう?

母親が支払う相続税(評価額):(A部分の1/2(50㎡)+B部分の1/2(50㎡))×0.2
長男が支払う相続税(評価額):(A部分の1/2(50㎡)+B部分の1/2(50㎡))×0.2

長男も、「同居する親族」と認められるため、敷地全体が特例の対象となります。その差は歴然ですね。

このように、親名義の土地に二世帯住宅を建てる場合、建物の名義は共有名義または親単独の名義にしておくと相続税が安くなります。もしも建築資金が足りないという場合には、借入金を使ってでも親名義のほうがいいでしょう。

以上の例では、相続する人がひとりの場合について考えてきました。しかし実際には、相続税は資産を相続する人が多いほど「誰が、いくらを税金を支払うのか」の計算が複雑になります。税理士やハウスメーカーに十分相談してみるとよいでしょう。

二世帯住宅についてのご相談は
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