
--法隆寺に見るヒノキの寿命
我が国には世界に誇る建造物があります。その一つは607年(推古15年)に推古天皇と聖徳太子が奈良・斑鳩の里に開いた法隆寺。五重塔は建立から1300年以上を経て、今もなお立ち続ける世界最古の木造住宅です。
1993年に五重塔を含む法隆寺が、日本で始めて世界文化遺産に指定されました。実はまさに木、それもヒノキで作られたからこそ、人類の遺産となった建築物なのです。
--今も香りを放つヒノキ
五重塔は幾度も修復されていますが、柱や梁、桁など肝心なところは全て創建当時のヒノキであり、どれも樹齢1000年以上のもの。それが1300年以上経っても朽ちることがありません。修復に携わった名棟梁の故・西岡常一さんによれば、その表面をカンナで削ると、ヒノキ独特の香りを放ったと言います(※2)。
ヒノキは1300年経っても生きている。ここにヒノキならではの半永久的ともいえる強靭さの秘密があります。実験によると、ヒノキの曲げ、圧縮などの強さは、伐られてから200年ほどの間にだんだん強くなって最大30%も強度が増し、1000年位経って新材と同じ強度に戻ります(※3)。つまり育った年月の倍の年数は、その強度を保ち続けることができる木なのです。
日本のヒノキは、植えられてからほぼ60年を経た時期に伐採された建材になります。法隆寺とまではいかないまでも、世代を超えて100年以上は確実に持つ家が、このヒノキを使えば建てられるのです。
現在の住宅には「日本住宅性能評価基準」が定められています。どれくらい長持ちするか「劣化の軽減」についての等級で、ヒノキは75年から90年持つことが認められているグレードの等級3を得ています。
末永く住み続けられる家はヒノキでつくるべきであることを、法隆寺の五重塔は私達に教えてくれるのです。
◎参考/※1「木づくりの常識非常識」上村武著、学芸出版社
※2、※3「法隆寺を支えた木」西岡常一、小原二郎著、NHKブックス
住宅性能表示制度とは、国土交通大臣が定めた「日本住宅性能表示基準」に基づいて、住宅の性能を比較できるようにしたもの。木造軸組み工法の「劣化の軽減」には、3つの等級が決められ、等級1は「建築基準法に定める対策が行われているもの」。 |
